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【UEGW事後特集】新規μオピオイド受容体拮抗薬TD-1211 フェーズ2bで疼痛治療の便秘を有意に改善示す

公開日時 2012/11/05 03:00

がん以外の疼痛治療としてオピオイドを慢性的に使用し便秘症状を示す患者において、新規便秘治療薬のTD-1211がプラセボに比べ、オピオイドの鎮痛効果を阻害せずに、排便回数や便の性状を有意に改善することが分かった。同剤のフェーズ2b多施設二重盲検並行群間試験の結果から示された。10月20~24日までオランダ・アムステルダムで開催された第20回欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week:UEG Week)で開かれた「Free Paper Session:Top general interest late breaking abstracts」で10月23日、米Theravance社のDaniel Canafax氏が報告した。


TD-1211は、オピオイド治療の副作用である胃腸症状の緩和を目的に開発されている新規経口、多価のμオピオイド受容体拮抗薬。オピオイドの鎮痛効果を損なうことなく、有効性を発揮することが期待されている。


試験では、がん以外の疼痛治療で1日にモルヒネ30mg以上相当量を14日間以上投与し、オピオイド誘発性の便秘症状を呈する患者217例を対象に、TD-1211 5mg/日(53例)、10mg/日(49例)、15mg/日(47例)、プラセボ群(52例)の4群に無作為に割り付け5週間治療した。登録基準は、ベースライン期間の2週間の間に、自発的排便の頻度が5回以下で、排便の25%以上で便秘症状を1つ以上伴う場合とした。TD-1211群では、最初の4日間で3群全てに1日5mgを投与し、5日目以降から5mg、10mg、15mgをそれぞれ投与した。主要評価項目は、2~5週目までの完全自発的排便頻度(週平均)のベースラインからの変化。


患者背景に群間差はみられず、平均年齢は49歳、女性が59%、オピオイド誘発性便秘症の平均罹患期間は6.0年、平均自発的排便の頻度1.1~1.2/週など。


その結果、主要評価項目の完全自発的排便は、プラセボ群では完全自発的排便が0.8回増加した(0.2回→1.0回)のに対し、TD-1211の15mg群では0.2回から2.7回に増加し、プラセボ群との差(最小二乗平均差)は1.79で有意差がみられた。10mg群では、0.3回から3.0回(プラセボ群との差:1.61、)、5mg群では0.1回から1.6回(プラセボ群との差:0.97)に、いずれも有意に増加していた(p=0.0010、0.0413)。


副次評価項目の週平均自発的排便頻度は、プラセボ群が1.2回から3.1回に増加したのに対し、15mg群は1.2から4.9回(プラセボ群との差:1.83)、10mg群は1.1回から4.5回に増え(プラセボ群との差:1.46)、いずれも有意に改善していた(p=0.0003、p=0.0038)。一方、5mg群は1.2回から3.9回(プラセボ群との差:0.88)に増加傾向をみせたが、プラセボ群との有意差はみられなかった(p=0.0739)。


また試験開始前にあらかじめ、自発的排便週3回以上、且つ3週以上にわたりベースラインから自発的排便が週1回以上改善した症例を奏功例と定義付けており、奏功例はプラセボ群の39%に対し、15mg群では70%、10mg群は61%、5mg群59%で、3群ともプラセボ群より有意に高い割合を示した。


便秘に対する全般的な改善度評価(0~7ポイント)では、最高7ポイントの「とても改善した」と評価した割合は、プラセボ群の9%に対し、15mg群では46%、10mg群では29%、5mg群は23%だった。改善を示す5ポイント以上の割合も3群は全てプラセボ群を上回った。


投与から最初の自発的排便が発生した時間は、8時間以内がプラセボ群の17%に対し、TD-1211群(3群合計)では52%で、即効性が高い可能性も示唆された。


便の性状を評価するBristol Stool Scale(ブリストル便スケール)は、ベースラインでは「硬くて乾燥」に54~67%が分類されていたが、TD-1211 群では「正常」に分類される割合が増加し(15mg群:75%、10mg群:56%、5mg群:57%)、「硬くて乾燥」に分類された割合は大幅に減少していた(それぞれ15%、20%、30%)。
有害事象の発生率は、プラセボ群で44%、TD-1211群(3群合計)で45%。腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などの消化管関連の有害事象は、プラセボ群20%、TD-1211群で26%に発生したが、群間差はみられなかった。治療関連の消化管での有害事象は治療の開始と関連しており、数日で解消するか、もしくは軽度だった。


治療期間中の疼痛スコアは全ての被験者群で、同程度且つ安定的に推移しており、TD-1211は中枢神経系への浸透がなく、オピオイドの鎮痛作用を阻害していないことも示された。


Canafax氏はこれらの結果から、「TD-1211は忍容性が高く、鎮痛薬の有効性を阻害することなく臨床的に意義のある高い奏功を導く治療薬である」と述べた。                                         

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