先頃最高裁で合憲と判定された医療改革法（一般には”The Afordable Care Act”として知られている）により、各州は州民のためのオンライン医療保険ショッピングサイトを設けることになっている。いわゆるHealth Exchangeである。州民はこのサイトによって購入可能な各種の医療保険を比較検討することができ、またオンラインで購入することもできる。（医療ジャーナリスト　西村由美子）

2014年には完全実施が義務づけられるHealth Exchangeの導入であるが、現在のところ、導入のための取り組みは各州によってまちまちである。カイザーファミリー財団の調査によれば、すでに14州がHealth Exchangeを導入し終えたと表明しているものの（ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ネバダ、ユタ、コロラド、ニューヨーク、コネチカット、バーモント、ロードアイランド、ワシントンDC等）、一方では、オバマ大統領の医療改革法にはっきりと反対を表明してきている共和党系知事たちが率いる州では「導入しない（アーカンサス、ルイジアナ）」「とくにアクションは起こしていない（ウィスコンシン、ノースダコタ、サウスダコタなど12州）」状況であり、他は「検討中」「計画中」というファジーな回答だ。

http://www.kff.org/healthreform/health_insurance_exchange_states.cfm

まだ全米での実現にはほど遠い観のあるHealth Exchangeであるが、しかし、その基本コンセプトはオンラインでの商品／価格比較、あるいはオンライン・ショッピングで、いずれも現代の消費者（つまり米国民）にとってはきわめてわかりやすく、それ故に受入れやすい手段である。しかも従来の行政施策の実施方法に比べれば、手間も経費もかからず、著しく効率的なのである。また、Health Exchangeが実施されれば永年の懸案でありながら解決の道筋の見えなかった無保険者問題の解決の一助となることは誰の目にも明らかである。

米国の評者たちの意見が「その有用性・効率性によって、 Health Exchangeのコンセプトは、遅かれ早かれ、反対勢力にも受入れられ、実施されるようになるだろう」という方向に傾いてきているのも、理解できる。