ペメトレキセドによる維持療法 NC-NSCLCのOSを有意に延長
公開日時 2012/07/25 04:00
進行性の非扁平上皮型非小細胞肺がん(NC-NSCLC)に対するペメトレキセド+最善支持療法(BSC)の維持療法は、無増悪生存に加えて全生存(OS)も有意に延長させることがわかった。ペメトレキセドとシスプラチンの導入療法後の維持療法として、ペメトレキセド+BSCとプラセボ+BSCとを比較検討した、無作為化プラセボ対照二重盲検臨床第3相試験「PARAMOUNT」の結果から明らかになった。ペメトレキセド群の無作為化からのOSは13.9カ月に達した。スペインUniversity Hospital Virgen del RocioのL. Paz-Ares氏が6月4日に開かれたOral Abstract Session「Lung Cancer−Non-small Cell Metastatic」で報告した。
治療歴がないIIIBからIVのNS-NSCLC患者939例に、導入療法としてペメトレキセド(500mg/㎡)とシスプラチン(75mg/㎡)を21日毎に4サイクル実施。その後、完全奏功(CR)または部分奏効(PR)、疾患安定(SD)に達した患者539例に対し、疾患が進行するまで、または重篤な有害事象が発生するまで、維持療法としてペメトレキセド+BSC(21日毎)の治療を行う群(ペメトレキセド群、359例)または、プラセボ+BSCを与える群(プラセボ群、180例)に割り付けた。
主要評価項目である無増悪生存(PFS)の結果は既に報告されており、ペメトレキセド群で有意な延長が見られた(HR:0.62、95%CI: 0.49 – 0.79、p<0.0001)。今回の報告は、死亡例が390例以上に達した、OSの最終解析結果である。データ締め切り時のイベント数はペメトレキセド群が256例(71%)、プラセボ群が141例(78%)で、治療を中止していた患者はそれぞれ350例(97%)と178例(99%)だった。
年齢(中央値)はペメトレキセド群が61歳、プラセボ群62歳、喫煙歴のある割合はそれぞれ76%、80%、ECOG PS 1がそれぞれ68%、66%だった。維持療法のサイクル数の中央値は両群とも4サイクルで、平均値はそれぞれ7.9サイクル、5.0サイクル、また6サイクルよりも多く受けることが出来た患者の割合は、それぞれ37%、18%、ペメトレキセド群の計画用量に対する実際の投与量の割合は、93.7%だった。追跡期間は、全被験者で12.5カ月、生存被験者では24.3ヶ月であった。
治療を中止した最も大きな理由は疾患進行で、ペメトレキセド群が69%、プラセボ群は84%だった。有害事象により中止した割合はそれぞれ18%と7%だった。
無作為化からのOSは、プラセボ群が11.0カ月だったのに対しペメトレキセド群では13.9カ月に達し、ペメトレキセド群で有意に延長されていた(調整前HR:0.78、95%CI: 0.64 – 0.96、p=0.0195)。1年間と2年間生存率は、プラセボ群でそれぞれ45%と21%だったのに対し、ペメトレキセド群ではそれぞれ58%と32%に上った。また、導入療法からのOSもペメトレキセド群が有意に長く、プラセボ群が14.0カ月に対して、ペメトレキセド群は16.9カ月だった(HR:0.78、(0.64 – 0.96)、p=0.0191)。ペメトレキセド群におけるOSでの優位性は、全てのサブ群で一貫して見られ、導入療法に対する奏効がどの程度でも、ベネフィットが得られることがわかった(CR/PRのHR:0.81、SDのHR:0.76)。
また、PFSを再評価した結果、調整前HRは0.60となった(95%CI: 0.50 – 0.73)。
グレード3/4の薬剤関連の有害事象は、貧血(ペメトレキセド群:6.4%、プラセボ群:0.6%)、好中球減少(5.8%、0%)、疲労感(4.7%、1.1%)、白血球減少(2.2%、0%)、吐き気(0.6%、0%)、嘔吐(0.3%、0%)などで、これまでペメトレキセドの単剤使用で認識されている有害事象と同様であった。
これらの結果からPaz-Ares氏は、「維持療法でもペメトレキセドの投与を継続した患者は、有意に生存が向上し、導入療法での奏効度合いを含め、全てのサブ群で一貫して生存ベネフィットが見られた」と結論付けた。その上で、「PARAMOUNT試験は、維持療法の継続が進行性NSCLCの疾患過程に良好な効果を与えることを示した初めての試験で、同設定における治療パラダイムの変化を示唆するものである」とまとめた。