FDA HER2陽性乳がん治療薬pertuzumabを承認
公開日時 2012/06/14 04:00
米食品医薬品局(FDA)は6月8日、米ジェネンテック社(ロシュ子会社)のHER2陽性転移性乳がん治療薬Perjeta(pertuzumab)を承認したと発表した。
同剤の適応は、抗HER2療法あるいは化学療法の未治療のHER2陽性転移性乳がん患者で、別の抗HER2療法剤トラスツズマブおよび化学療法剤ドセタキセルとの併用。同剤は静脈注射剤で、トラスツズマブとは別のHER2タンパクの部位を標的とし、両剤は相互に補完し合い、HER2陽性乳がん細胞の成長を抑制すると見られている。
Perjetaの安全性・有効性は、HER2陽性転移性乳がん患者808例で検証された。患者は、Perjeta、トラスツズマブおよびドセタキセル併用群とプラセボを伴ったトラスツズマブおよびドセタキセル併用群に割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)。Perjetaを含む併用群では、PFS(中間値)は18.5か月、プラセボを含む併用群ではPFSは12.4か月に留まり、有意差を示した。
Perjetaを含む併用群で発現した主な副作用は、下痢、脱毛、好中球減少症、悪心、疲労感、末梢感覚神経障害など。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「トラスツズマブが10年以上前に承認されたことによって、その後、HER2遺伝子が乳がんで果たしている役割が良く分かってきた」と述べたうえで、「HER2の研究が、ドセタキセルにトラスツズマブとPerjetaという2剤の分子標的薬剤を併用することで乳がんの進行を遅らせる結果を生んだ」と近年のHER2遺伝子研究の成果を評価した。
米国では乳がんは女性でのがんによる死因の2番目となっている。2012年は226,870人が乳がんと診断され、39,510人が、乳がんが原因で死亡すると見込まれている。国内では、中外製薬が、同剤について、5月25日に、HER2陽性転移・再発乳がんの適応で厚労省に製造販売承認を申請した。