キラキラネームと姓名判断
公開日時 2012/04/24 04:00
姓名判断が採用に影響する。そんな企業がある。彼らの抱える事情とは…。
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「名は体をあらわす」というが、最近は、なかなかそう思いにくくなっている。
若い人に、横文字風の名前、漫画・ゲームのキャラクターのような名前(いわゆるキラキラネーム)が増えてきて、面談でお会いすると、名前とのギャップを感じることがあるからだ。
そうした名前は、読みにくいという不便さと違和感ばかりが目立ってしまうように思えるのだが、それも古い人間のグチに過ぎないのかもしれない。なにせ、これからどんどん難読名の社会人が増えてくるのである。慣れなければ、名前を聞いて驚いている方の感性が疑われかねない。
転職はキャリアとスキル、本人の人柄で決まるべきもの。親が付けた名前で左右されるべきでないのは当然だが、採用する側も人の子だ。あまり奇妙な名前に「一体、どういう人なのだろう?」と、ついつい身構えられてしまうのも、やむを得ない面もある。実際は、ごくありふれた名前でも採用に影響してくることがある。
骨董品のリース・売買を事業にしているA社は、「決して絶対の条件ではないが」と前置きした上で、名前が採用に影響してくる可能性について言及があった。
「私たちの顧客の多くは、神社・仏閣の関係者です。そういう方々のなかには名前の字画や、どういう字が使われているかを気にされる方がいるんです」
「字画だけでなく、ダメな漢字もあるのですか?」
「一般的な『忌み』に当たる言葉はもちろん、意外なところでは『経』という字を嫌う神社さんもあります。陰陽の見地から『月』『夜』等がよくないという人もいました。逆におめでたい字を使っている営業は贔屓にしてもらったりするんですよ」
「難しいものですねえ」
「本人にはどうしようもないことですし、A社として、偏見があるわけではないのですが、お客さまが縁起商売なので考慮せざるをえないんです」
なるほど、こういう事情ならA社が名前を気にするのも仕方ないことだろう。
商社B社では、オーナー社長の方針で、採用に姓名判断を利用していると人事から話があった。しかし、他のことではB社は万事合理的な会社である。そこで社長に、どういう理由なのかを尋ねてみた。
社長が姓名判断にはまるきっかけになったのは、長女に孫の名前を決めて欲しいと言われたことだった。本を買って、初孫の名前を決めた後、面白半分に会社の名前と社員の名前の相性を調べてみたのだ。すると、驚くような相関がみつかったのだ。
会社で活躍している人、長く働いてる人たちの方には共通なところがないのだが、入社してすぐに病気になった人・大けがをした人など、悪いことがあった人はすべて姓名判断で会社との相性が最悪となっていた。
偶然に過ぎないと思おうとしたが、次の採用のとき、社長はどうしても姓名判断をせずにはいられなかった。
「B社の自慢は、こういう時代にあっても家族的なつきあいをしているアットホームな会社であること。私は、社員達はみんな家族だと思っています。だからこそ、迷信とわかっていても、名前にまでこだわってしまうんですよ」
『姓名判断で採用を決める会社』
そう聞くと、一般的にはそれほど良いイメージはもたれまい。しかし、B社の場合、それは応募者を気づかう気持ちからなのだ。話を聞いた後、我々は社長にこう提案した。
「良いお話ですね。でも、それでも入社したいという人もいるはずです。本人にそのことを伝えて、判断を任せてみては?」
社長は腕組みをして
「そうだなあ。でも、それで不幸があったりしたら、こっちの寝覚めが悪いからなあ。まあ、始めからはねつけないで、その時々で考えてみることにしようか」
と、譲歩の姿勢をみせてくれたのだった。
世の中には、名前に色々な思いや意味を見いだそうとする人も大勢いる。その事実をすべて無視するのも乱暴なように思える我々なのであった。
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