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ノバルティス 米国で1960人削減を発表 うち営業要員は1630人

公開日時 2012/01/17 04:00

ノバルティスは1月13日、アメリカで1960人の人員削減を行うと発表した。人員削減は降圧薬のアンジオテンシン受容体拮抗薬・ディオバン(一般名・バルサルタン)のアメリカでの特許切れと直接的レニン阻害薬・ラジレス/テクターナ(一般名・アリスキレンフマル酸塩)の一部試験中止を受けた措置としている。


今回の人員削減計画の内訳は、営業要員1630人、アメリカ事業本部要員330人。削減は2012年第2四半期までに完了予定。


同社は製品別売上高第1位で、2010年売上高60億5300万ドルを誇るディオバンは昨年ヨーロッパで特許が失効し、今年9月にアメリカ、2013年には日本で相次いで特許失効を迎え、とりわけアメリカではその後の大幅な売上高減少が予想されている。


これに加えラジレスでは、ALTITUDE試験が昨年12月19日に中止が発表された。同試験は腎機能障害を伴った2型糖尿病症例を対象として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬あるいはアンジオテンシン受容体拮抗薬にアリスキレンの上乗せ効果を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験。参加症例は36か国から8606例(日本は37施設206例)の国際共同試験だったが、ラジレス併用群では、投与開始後18~24か月から非致死性脳卒中、腎合併症、高カリウム血症、低血圧の発現頻度が増加した。このことを受けて独立データモニタリング委員会は、ラジレス上乗せ投与による利益を得る可能性が低く、有害事象の発現頻度が高いと結論づけ、その推奨により試験は中止された。


ノバルティスはALTITUDE試験の結果を受けてACE阻害剤やアンジオテンシン受容体拮抗薬とラジレス併用に関する販促を現在中止し、臨床医にもこの種の併用しないよう勧告している。また、アメリカではラジレスとディオバンとの配合剤・バルターナも発売されており、これら配合剤も含むラジレスの売上高は2011年第3四半期までの9か月間で約4億4900万ドルとなっている。ALTITUDE試験の結果はその販売動向に影響を与えることは必至。さらに欧州医薬品庁も同試験のベネフィット/リスク比にラジレスが与えた影響についてのレビューを開始したことが伝えられている。


ノバルティスでは、LTITUDE試験中止によるラジレスの販売動向を再評価し、その影響として2011年第4四半期決算で特別損失約9億ドル、今回のリストラに伴う経費として2012年第1四半期決算に特別損失約1億6000万ドルを計上予定。また、今回のリストラによるコスト削減効果については2013年の通年で約4億5000万ドルと見積もっている。


なお、同社は2011年第3四半期決算発表時に今後3~5年後以内にスイス・イタリアで2つの製造施設を閉鎖とそれに伴う全世界的な生産ネットワークの再編と、アメリカとスイスでの研究開発部門の再配置なども発表している。
 

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