ところ変われば採用も変わる
公開日時 2011/12/06 04:00
ところ変われば人も空気も変わる。採用担当者が実感する業界の違いとは…。
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事務系スペシャリストと呼ばれる管理部門の経理・人事・総務等は、業界を越えて転職ができる選択肢の多い職種だ。しかし、ところ違えばやり方も違う。業界を越えての転職となると、同じ業務でも違っていることが多々ある。
職務内容にもみえる明らかな違い(例えば、経理職におけるメーカーと非メーカーでの原価計算の扱い、総務が抑えておくべき法律範囲等)は、転職者の方でも当然分かっているし、採用する企業も選考のなかで注意してチェックするので問題にならないが、雰囲気の違い・気質の差のようなものはやはり、転職後に気づくことになる。
医療サービスA社の人事Kさん(28歳)は、半年前は我々のご登録者で、我々を通してA社に入社し、そのまま採用担当として、再び我々と接点を持つようになった方だ。
転職する側・採用する側、双方から転職エージェントを使ったKさんは、その我々に裏表なく話をしてくれる人事であった。
「転職してつくづく思いますが、こっちの業界は、採用の判断が難しい」
Kさんの前職は広告業界の人事。A社転職後当初は、技術系の求人の方が、キャリアのジャッジが難しいだろうと思っていたのだが、実際にやってみると事務系、とくに営業職の採用で壁にぶつかっているという。
「誰がいい人で、誰がそうでないか、これがサッパリ分からないんですよ。正直、みんな同じに見えるんです。広告業界の人はみんな、すごくアピールしてくるんです。ヘタすると、出来ないことも出来るって言ってきたり、やってないこともやったって言いだしかねないくらい」
たしかに我々から見ても、広告業界の人は積極的である。正に業界柄というのであろう、面接でも物怖じせずに売り込みをかけてくる人が多いのだ。
「メディカルは違うんですね。営業でも大人しい。アピールも『職務経歴書に書いてある通りです』くらいのことしか言わない」
これもメディカル業界の人の特徴だろう。奥ゆかしいといえばいいのか、自分で手柄を並べてたててくるような人は少ない。むしろ、高い実績があるのに謙遜して「普通にやってきただけです」と言ってくるような人も珍しくない。
「高学歴の方が多くて、話の内容も論理的でしっかりしているので、そこでは差がつかない。私なんか、一時間面接しても誰が誰やらという感じなのに、支店マネージャーはサッと『この人がいいでしょう』と言ってくるんですよ。いったい、どこで判断しているのか…」
Kさんは参ったというように頭を掻きながら
「そろそろ一人で面接して、候補者を絞って欲しいとも言われているんですが、まだ自信がなくて…。こういうところでつまずくとは思いませんでしたね」
と、助けを求めてきたので、我々はこうアドバイスした。
「でも、謙遜しながらも、自分の仕事にはプライドを持っている方が多いんですよ」
「たしかに、それは感じますね」
「ですから、そこをくすぐって話を引き出すか、逆に少し厳しいことを言ってみて本音を引き出すようにしてみてはどうでしょう?」
「なるほど…。しかし、慣れるにはなかなか難しい業界ですね」
こうしてKさんは自分なりに、新しい会社での採用方法論を模索中である。といっても、まだまだ困ることも多いようで、
「取りあえず、三名を二次面接に進めることにしたのですが、(どうしてこの三人を選んだのか)上に報告するのに、適当なコメントが思いつかないんです。一緒に考えてもらえませんか?」
なんて、相談を持ちかけられることも。ただ、信頼していただけるのは有り難いが、我々とて直接お会いしていない方についてのコメントをアドバイスするのは難しい。
採用の合否に直結するような事柄は、たとえ新参者であっても、その組織に属する人がすべきものだろう。それが採用という仕事の責務であり、面白さなのだから。
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