ミクス×リクルートエージェント共催セミナー 接待規制強化でMR活動も進化
公開日時 2011/10/30 00:00
提供:株式会社リクルートエージェント
MRが医師に提供できる接待内容が2012年度から大幅に規制される。例えば飲食接待が1人上限5000円になるなど、医師とのコミュニケーション手法のひとつだった“接待”が事実上使えなくなるわけだ。この環境変化にMRの行動やスキルにも変革が迫られる。では、いったい次世代のMR像とはどのようなものなのか。ミクスとリクルートエージェントは共催したセミナーで、そのヒントを探った。
共催セミナー「接待規制見直しで変わるMR活動―新時代への転換」が10月8日に東京都内で開かれた。3連休の初日ではあったが、現役MRを中心に約100人が参加した。
演者からは接待規制に悲観することなく、むしろ医師から求められ、医療現場で必須の存在へとMRを進化させるきっかけにすべきとの前向きな声が多くあがったほか、ソーシャルメディアのプロモーションへの活用術も紹介された。各演者の講演内容をレポートする。
医師と同水準の思考回路を
千葉・柏リハビリテーション病院人工透析内科の宮本研部長は、▽セールストーク▽お願い▽接待▽医療知識の不足▽コメディカル軽視――といったMRを「医療現場は求めていない」と指摘した。その上で診断や治療など医師が抱える様々な問題に対して、KOLに依存せず、事実に基づいて中立的な意見を話せる「医師と同水準の思考回路を得たMR」が5年後も生き残ると語った。
なかなかハードルが高そうだが、宮本氏はMRを医療のリアリティに近づけるような研修内容に変革させることがカギを握るとし、そのためには医師が研修の企画段階から参加することがポイントとの持論を展開した。宮本氏は、「何百人も看取ってきたが、“お願い”しても患者は治ってくれないし、生き返らない。ベストを尽くしても結果がでないこともある。医療は生存に必須なもので、好きか嫌いかで提供するものではない」と述べ、MRにこういった医師の思いや現実をより理解してもらうことが医師の求めるMRにつながるとの考えを示した。
医療連携サポートで存在感
サンテ医業コンサルの田中豊章代表は、地域ごとに人口動態や受診者数などが異なるなかで、本社主導の全国一律のマーケティング戦略は限界と指摘し、担当エリアをMR自身が分析してプロモーション力を高めていく必要性を訴えた。
田中氏によると、現在は、様々な無料の公開情報から疾患別・医療機関種別ごとの受療率や、患者の紹介状況などが把握できる。そのデータを活用してエリア分析することでターゲット病院の選定・確認ができるほか、医療機関の多様化するニーズにも応えられるとし、“コンサルタントMR”として存在感を発揮できると提案した。
コンサルといえばSWOT分析を想像するところだが、田中氏は比較的簡単な取組みとしてMRによる担当エリアの医療連携サポートを挙げた。「医療連携がスムーズになると患者が一番ハッピーになる。チーム医療の一翼をMRにも担ってもらいたい」と語った。
ソーシャルメディアで医師や患者の声に触れる
スリーロック社のジェフリー B. シュナック社長は、現在の情報の流れについて、情報に関心をもつとネットで検索され、検索後にはソーシャルメディア(ブログ、SNS、Twitterなど)上で報告されるとし、「情報や会話の場がソーシャルメディアに移っている」と指摘した。医療や医薬の情報も同様で、医師、薬剤師、患者らがソーシャルメディア(「旭川の薬剤師道場」など)で情報発信し、なかには詳細な書き込みも見られるという。
シュナック社長は、このソーシャルメディア上での医師や患者らの生の声を観察することで医療の実態が垣間見えるとし、医師とのディスカッションの切り口のひとつにもなり得るとの見方を示した。
しかし、MRがソーシャルメディアを使って医薬品関係の情報発信をすることは、「まだ危ない。どのように情報が流れていくかわからない」と慎重な考え。現状では、製薬企業の関係者と名乗った上で、「書き込みを観察することは、ぜひしてみてほしい」と話し、ソーシャルメディアに触れる重要性を指摘した。