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薬食審・第二部会 エポジンの「がん化学療法に伴う貧血」 「承認適切でない」

公開日時 2011/06/14 04:02

厚労省の薬食審医薬品第二部会は6月13日、中外製薬のエポジン注(一般名:エポエチンベータ遺伝子組換え)の効能に「がん化学療法に伴う貧血」を追加することについて審議し、「承認することは適切ではない」との結論をまとめた。予後の悪化や腫瘍の増殖の促進というリスクを回避しがたいとし、薬事法の承認拒否事由に該当すると判断した。ただし、新たな治療法としての期待や、患者の同意を得て使用可能ではないかとの意見もあったことから、広く一般から意見を募集(パブリックコメント)し、それも踏まえて、9月にも予定される薬事分科会で改めて審議することになった。

13日は1議題のみで、同剤のシリンジ24000、同36000に「がん化学療法に伴う貧血」の効能追加。09年11月に中外製薬から申請されていた。同省によると、医薬品医療機器総合機構の審査でも第二部会と同様の結論が出ていたが、中外側と見解の相違もあり、部会で審議された。

部会では赤血球輸血以外の治療選択肢の開発への期待があるとしながらも「赤血球造血因子(ESA)製剤の投与により、がん患者では生命予後の悪化、腫瘍増殖の促進という極めて重要なリスクの懸念が報告されており、現時点では投与対象患者をHb濃度等で限定するなど厳重な管理を行ってもこのリスクを回避できることは示されていない」と指摘。「現時点では承認は困難」だとした。

「新たなエビデンスの追加を待って再度の検討が期待される」との意見も付されてはいるが、これは指摘されるリスクを払拭するほどのデータを期待しての意見。中外は「現状の推移を見ていく」(広報IR部)とし追加データを提出することは予定しておらず、当面は厳しい審議環境にある。

中外は同日、「当社は承認取得に向け引き続き努力してまいります」とのコメントを発表した。同社広報IR部は「今後どうするかはコメントできない」としている。

ESAのがん患者の投与を巡っては米国FDAが08年7月に治癒が見込まれるがん患者やHb濃度10g/dL以上の患者への投与を禁止した。当時、武田薬品と米アフィマックス社ががん化学療法による貧血の効能で日米でフェーズ1を進めていたヘマタイド(エリスロポエチン受容体に作用する合成ペプチド)は、その投与制限のあおりで被験者確保が難しくなり開発中断。日本には同効能を持つESA製剤はなく、今回のエポジンのほか、協和発酵キリンのネスプが承認審査段階(08年11月に申請)にある。

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