メディセオの名古屋ALC竣工、東名阪体制整う
公開日時 2011/06/13 04:00
メディセオの名古屋ALC(エリア・ロジステゥクス・センター)が愛知県清洲市に竣工、報道陣に公開された。09年6月の神奈川ALC(横浜市)、10年3月の南大阪ALC(八尾市)に次ぐもので、東名阪の体制が整った。稼働は7月の予定だ。
ALCは顧客別にピッキングし直接配送することで、品揃えの拡充とリードタイムの短縮をはかる。さらに自前のマテハン技術で出荷精度をシックスシグマ(3.4/100万)まで高め、顧客との間でノー検品システムを導入、顧客とWIN―WINの関係構築を目指すものだ。
設備投資額は80億円、敷地面積は3.1万㎡、延べ床面積は2.5万㎡だ。愛知・岐阜・静岡・三重・富山・石川・福井・滋賀北部・和歌山東部の1410億円の同社市場をカバーする(市場シェア13.7%)。東海地区では高いとはいえないシェアを、ALCで顧客の信頼をえながら育てようとの姿勢だ。調剤薬局向け分割販売機能も持たせる。37支店のうち7支店をセンター内に集約、別の2支店を加えた9支店はALCから直接配送する。他の支店は支店経由で配送、一部支店は在庫も置く。
大手卸は近年、物流センターの再構築を精力的に進めるが、新体制構築ではスズケンが先行、アルフレッサHDも後を追う。メディセオはメーカーに近いメガセンター方式から顧客に近いALC方式に舵を切ったが、やや出遅れている。東日本大震災では広域卸の被災地向け供給が威力を発揮、卸物流の重要性が証明された一方、一部卸の首都圏センターが被災し一時出荷不能になるなど明暗を分けた。メディセオは神奈川ALCの免震構造と全設備をカバーする自家発電設備が奏功、機能を維持し続けたことは評価される。
今回の卸決算は価格競争による史上最悪の利益喪失決算だった。渡辺秀一社長は「価格競争は限界にきた。こういう状況下、ALCで顧客との新たな関係を構築する可能性を探っていきたい」と、脱価格競争に向けた期待をにじませる。