あすか 甲状腺機能低下症治療薬チラーヂンの供給困難 震災で
公開日時 2011/03/18 04:01
あすか製薬は3月17日、甲状腺機能低下症治療薬のチラーヂンS(一般名:レボチロキシンナトリウム)が震災の影響で供給困難な状況にあることを明らかにした。同剤を生産している福島県いわき市の工場が損傷を受けたため。同治療薬は国内ではほぼこの製品のみといっていい状態。神奈川県保険医協会は、患者の生命に関わる問題だとして、緊急輸入など早急な代替措置が必要だとする声明を発表した。
あすかの文書によると、工場損傷で「生産の見通しが得られない状況」で、チラーヂンの錠剤、散剤、末については「通常の供給が困難な状況にある」という。「通常の生産までには今暫くのご猶予を」としている。対策として▽製造委託会社による生産▽海外製品の緊急輸入▽いわき工場の操業再開--を探るなど、供給確保に全力を上げているとしている。市中在庫については、問い合わせた17日夜現在では確認が必要とのことだった。
同社によると、この薬の半減期は7日程度あるが、承認上の用法・用量では毎日服用する必要がある。服用しなくなると、代謝機能が落ち、活動量が低下するなど症状が現れる。神奈川県保険医協会の声明(森壽生研究部長、桑島政臣政策部長の連名)では、「早期に供給に関する代替措置をとらないかぎり、服用者30万人の国内の患者の命が確実に危険にさらされる」と指摘している。
神奈川県のある病院の担当医師は、供給状況を踏まえ、毎日服用から半減期を考慮して3日に1回の服用を指示している。薬剤部によると、この病院では、1ヵ月程度の院内備蓄があるというが、院外の保険薬局の備蓄がなくなると院内に患者が戻る可能性があるとして、見通しは立てにくいとしてる。
おことわり(18日21時10分)
最後の段落を追記しました。