t-PA療法の有効性 60分未満に治療開始で死亡率低減
公開日時 2011/03/14 04:00
有害事象の頻度低く
病院到着から血栓溶解療法開始までの時間と、院内での臨床転帰との関係を検討した結果、到着から60分以内にt-PAの静注療法を受けた被験者は死亡率が有意に低く、症候性頭蓋内出血の頻度も少ないことが分かった。米・University of California, Los Angels(UCLA)のGregg C Fonarow氏が、2月10日の救急医療オーラルセッションで報告した。
研究グループは、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の入院患者を対象に現在進行中の観察研究「Get With the Guidelines-Stroke」の患者データを対象に、病院到着から血栓溶解療法を開始するまでの時間と院内死亡率や合併症などについて解析した。対象は、2003年4月~09年9月までに、1082カ所の施設で、発症から3時間以内にt-PAの静注を受けた2万5504例。
治療開始までの時間は平均79.3分で、60分未満だったのは、6790例(26.6%)だった。
治療開始までの時間を60分未満、60分以上に分け、患者特性をみると、60分以上群は、虚血性脳卒中の年間入院件数やt-PA静注療法の件数が多く、比較的規模が大きい病院で治療を受けている傾向が見られた。
院内死亡率は、60分未満の8.6%に対し、60分以上群では10.4%で、60分未満群が有意に低いことが分かった(P値<0.0001)。調整後オッズ比は0.78(95%CI:0.69~0.90、 P値<0.0003)。
症候性頭蓋内出血の頻度も、60分未満群の4.7%に対し、60分以上群では5.6%で、60分未満群で有意に低く(P値<0.0017)、全有害事象発生率も、60分未満群で有意に低かった(P値=0.0065)。
病院到着から治療開始までの
時間15分短縮で死亡率5%低下
多変量解析の結果、病院到着から治療開始までの時間が15分短縮されるごとに、院内死亡が5%低下することが分かった(調整オッズ比0.95、95%CI:0.92~0.98、 P値=0.0007)。
Fonarow氏は、「血栓溶解療法開始までの時間が短いほど、t-PAの有害事象が少なく、院内死亡リスクが低くなる」と結論付けた。