99%の絶望、1%の希望
公開日時 2010/12/28 00:00
株式会社メディカルライン榎戸誠井上ひさしが目指したもの何ということだろう。これまで井上ひさしの本を何冊も読んできたというのに、井上ひさしという作家については、私は何も知らなかったのだ。そのことを教えてくれたのが、『井上ひさし希望としての笑い』(高橋敏夫著、角川SSC新書)である。作家・井上が目指したものは、3つにまとめることができる。第1は、どんな逆境にあっても、今日よりも明るい明日の到来を確信する「希望としての笑い」を描き続けることである。すなわち、「大きな希望につながる小さな希望としての笑い」である。これは、厳しい生活環境の中でも、いつも笑いを忘れずに前を目指す、ヴァイタリティに溢れ創意工夫に富んだ母・マスの影響だろう。第2は、英雄やヒーローではなく、どのような権威や権力からも遠い「フツ...