米ファイザーは12日、ニューヨーク証券取引所に上場しているKing Pharmaceuticals社（本社・テネシー州ブリストル、Brian A. Markison最高経営責任者）を総額36億ドルで買収すると発表した。昨年の約670億ドルでのワイス買収以後、同社にとっては最大規模の買収となる。

買収は11日のKing社の株価終値に約40％、過去1カ月の平均株価では約46％のプレミアをつけた1株当たり14.25ドルの現金買収。今回の買収により、ファイザー社の2011～2012年ベースの１株当たりの利益（EPS）は2セント、2013～2015年ベースのEPSでは3～4セント上昇する見通し。

COX-2阻害薬・セレブレックス（一般名・セレコキシブ）や神経痛治療薬・リリカ（一般名・プレガバリン）などの疼痛治療薬を有するファイザーは、疼痛分野に強みを持つKing Pharmaceuticals社を買収することで同領域を強化し、来年末に控える製品別売上高世界ナンバーワンの血清脂質異常症治療薬リピトールの特許切れによる売上減に備えたい考えと見られる。

◎King Pharmaceuticals社の強みは疼痛、神経分野

King Pharmaceuticals社は94年設立。従業員数2600人。疼痛分野に強みを持つほか、神経科学分野にも注力しており、筋弛緩薬・スケラキシン（一般名・メタキサロン）や抗炎症のジクロフェナックのパッチ剤・フレクターなどを製品を有している。09年売上高は17億8000万ドル。このうちスケラキシンの売上高は4億100万ドルだった。

一方、今年に入って同社がAcura Pharmaceuticals社と共同申請した不正使用されにくいとする速放性オピオイド鎮痛剤・アキュロックスはFDA諮問委員会で承認不支持の勧告が出されている。