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ACCORD Blood Pressure試験 120mmHg未満目指した積極的な降圧 心血管イベントのリスク減少せず

公開日時 2010/03/15 04:10

2型糖尿病患者を対象に、収縮期血圧120mmHg未満を目指した積極的な降圧を行っても、140mmHg未満に降圧した群と比べ、致死的・非致死的な心血管イベントのリスクを減少させないことが分かった。Veterans Affairs Medical CenterのWilliam C. Cushman氏が3月14日、第59回米国心臓学会議(ACC.10)のLate-Breaking Clinical Trialsで「ACCORD Blood-Pressure」試験の結果を報告する中で明らかにした。

(3月14日 米国・アトランタ発 望月英梨)


試験は、冠動脈疾患の発症リスクが高い2型糖尿病患者に、正常血圧(収縮期血圧120mmHg未満)を目指した積極的な治療を行うことで、心血管イベントを減少できるか検討するのを目的に実施された。試験デザインは、2×2factorialと呼ばれるもので、積極的な降圧とともに、厳格な血糖コントロールの有用性を同時に検討するものとして行われた。


対象は、冠動脈疾患のリスクが高い(症候性・無症候性の冠動脈疾患の合併、2つ以上の心血管イベント発症リスク)持続性2型糖尿病患者4733人で、①積極的治療群2362人②標準治療群2371人――の2群にランダムに分け、治療効果を比較した。


積極的治療群では、収縮期血圧120mmHg未満を目指して治療を実施。サイアザイド系利尿薬をベースに、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の中から1剤選び、2剤併用から治療をスタート。訪問時に収縮期血圧<120mmHgを満たしていない症例では、薬剤の追加または増量を行った。


一方、標準治療群では、収縮期血圧<140mmHg未満を目指した治療を実施。収縮期血圧≧160mmHgとなったケースや、収縮期血圧≧140mmHg以上が2回連続した場合に積極的治療を実施する一方で、収縮期血圧<130mmHgとなったケースや収縮期血圧<135mmHgが2回連続したケースでは減量するとした。主要評価項目は、初発の非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈疾患による死亡の発症率。平均追跡期間は、4.7年間。


その結果、1年後の平均収縮期血圧は、ベースライン時の139mmHgから積極的治療群で119.3mmHg、標準治療群で133.5mmHgまで低下した。主要評価項目の年間発症率は、積極的治療群で1.87%、標準治療群では2.09%で2群間に差はみられなかった(ハザード比:0.88(95%CI:0.73~1.06)、P値=0.20)。ただし、副次評価項目に据えたすべての脳卒中(P値=0.01)、非致死性の脳卒中(P値=0.03)の発症は、いずれも積極的治療群で有意に低下する結果となった。


一方で、安全性については、降圧による重篤な有害事象は、積極的治療群で77件(3.3%)、標準治療群で30件(1.3%)で、積極的治療群で有意に多い結果となった(P値<0.0001)。結果を報告したCushman氏は、「積極的な血圧コントロールを行う治療戦略が、複合的な冠動脈疾患の発症率を減少させるという決定的なエビデンスはない」と結論付けた。

 

なお、同試験結果は、同日付の「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」のオンライン版に掲載された。

 

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