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中医協・薬価専門部会 薬価維持特例の名称リニューアル 目的を明確化

公開日時 2009/12/03 04:02

厚生労働省は12月2日の中医協薬価専門部会に、業界が提案していた新薬の価格を一定期間維持する「薬価維持特例」に代わるものとして「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新加算)を提案した。10年度から2年間の試行的な措置としており、同日の部会では今後詳細を詰める方向となった。新加算は基本的に、薬価改定時に、特許期間中の新薬の乖離率が全収載品の平均乖離率の範囲内にある場合、改定前薬価になるよう加算するもの。薬価維持特例と方法は異なるものの、コンセプトはほぼ同様だ。

新加算の対象となる薬剤は、▽後発品が上市されていない新薬(ただし収載後15年まで)▽市場実勢価格の薬価に対する乖離率が、全収載品の加重平均乖離率を超えないもの▽配合剤のうち、薬価収載後15年を超えた成分または後発品が上市されている成分を含むものは除く――約350品目。これらの対象品目について、市場実勢価格に基づく算定値に当該算定値と現行薬価との差と同額か、当該算定値の一定率を加算する。厚労省の磯部総一郎・薬剤管理官は維持特例から新加算に変更したことについて、「目的をはっきりさせた名称がいいと思った」と述べ、ドラッグ・ラグや未承認薬・未承認適応問題の解消を目指すとのコンセプトを明確にするねらいから名称変更したと説明した。

一方、新加算の導入で後発品のある先発品はさらに2%の追加引下げを受けることとなった。業界提案は「後発品の使用促進が計画通り進まない場合、製薬企業は制度導入に伴う財政影響を補てんする方策として、既収載品の薬価を引き下げることがやむを得ない」としており、それがそのまま採用された形。磯部管理官は、ブリーフィングでその意図を「後発品に切り替わらなければ、単価を切り下げるというメッセージを出したかった」、「積極的に長期収載品を売っても仕方がない、という気持ちを持ってほしい」と話し、先発企業は新薬開発に注力してほしいとの思いを語った。

長野明専門委員(第一三共株式会社常務執行役員信頼性保証本部長)も専門部会で、長期収載品に売上を依存する企業は2%の引き下げの標的になると指摘。これらの企業は「短期的には雇用問題などが大きな経営課題になるが乗り切ってほしい」と話す一方、「最終的には患者さんのため」と同加算の意義を強調した。

今回、中医協での議論が前進した背景には、薬価調査に基づく具体的な財政影響の試算が提示されたという要素がある。厚労省によると、新加算による影響額は約830億円。これを後発品のある先発品の薬価引下げ(▲2%)により約530億円をねん出し、新加算による負担を約300億円にとどめたい目算。10年度の市場実勢価格に基づく薬価改定率は6.4%(▲約5000億円)、さらに先発品の4~6%の特例引下げなど(約400億円)財源が捻出されるが、一方、新加算の負担(300億円)と不採算品再算定など(約300億円)で費用がかかるため、最終的な改定率は▲6.2%(薬剤費全体の削減額は約4800億円)となる見通し。ただ、診療・支払の各側委員からは830億円の影響額が多く、「もっと引き下げることができないか」といった声が相次いだ。磯部管理官も中医協後のブリーフィングで「金額の部分のクリアが(実現への)最後のヤマ」と分析する。

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