厚労省 中医協・薬価専門部会に薬価維持特例の論点案を提示
公開日時 2009/07/16 04:00
厚生労働省は7月15日、中医協・薬価専門部会に業界が提案する薬価維持特例を柱とする新薬価制度の論点案を提示した。前回(6月)に開催した同専門部会では業界側の団体トップが一堂に集結し委員に対し理解を求めたところ「理解が進んだ」との評価が多かったが、今回の論点案は一転。「制度設計の詳細やその妥当性に関する説明が必ずしも十分であるとは言い難く、現時点では、その導入の可否を判断するための材料が不足していると考えられる」と指摘。薬価維持特例を導入する必要性を問う内容となっている。
論点としては▽薬価維持特例を導入する必要性▽薬価維持特例の導入による患者等へのメリットを確保するための方策▽薬価維持特例の対象品目、期間等の考え方▽後発品の使用促進との関係▽その他――の4項目。特に導入する必要性については、製薬企業の経営状況や新薬の研究開発・供給の状況を勘案した上での検討が必要ではないか、とする。磯部総一郎薬剤管理官は終了後の会見で、前回のヒアリングで「大分理解は深まったと」としながらも、「充分な説明が足らないというのも委員のなかにあるのは事実」で、それらの意見を整理したと説明した。
議論では、診療側の中川俊男委員(日本医師会常任理事)が新薬価制度の必要性について「まだ説明が不十分」として疑問を示した。「現行制度のなかでは国内企業が新薬開発できないというエビデンスと、(国内企業の経営が立ち行かなくなって)外資系だけになったとき困るというデータを出して欲しい」と主張。この発言で、議論の方向性が制度を導入する必要性に向いた。
診療側では山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)が「これまでよりも踏み込んでいる」と論点案の内容を評価しながらも「必要性は十分理解できていない」とした。議論を進めていくならば「トップから説明して欲しい」とより詳細な説明を求めた。また、支払側からも導入の必要性について指摘があり、「問題を理解して共通認識を持たないと話は進まない」(北村光一委員)として、同様に企業トップのヒアリングを求めた。
今後については日程を含めて調整をする方向。12月を目途とする10年度薬価制度改革の骨子には何らかの結論を示すことに変わりはないとしている。
今回の議論の方向について一部からは、診療側の意見は、今後具体的な医療費の配分の議論に入るなかで、年末を見据えた「中医協対策」の色合いが濃いのではないか、といった声も聞かれる。