ファイザー・島谷常務 治験コスト面での改善見られず
公開日時 2005/10/25 23:00
ファイザーの島谷克義常務取締役臨床開発部門統括担当は、10月25日に都内で
開かれた第6回北里・ハーバードシンポジウムで、製薬17社の調査から、CRC
を配置している施設が昨年の調査結果の7割をさらに上回り、9割に達してい
ることや、治験費用全体のうち治験広告費用が前回の7%から今回わずか1%
になり、治験広告による費用対効果が向上しているなど治験環境の改善が進ん
でいることを報告した。
このほか、改善された点として、▽CRC、SMOが配置されている施設といない施
設での事務手続きや被験者組み入れのスピードの差がますます顕著になった▽
国立病院でのエントリーが増加した▽契約しても、実際には治験を未実施とい
う国立病院がゼロであった(前回は16%あった)――などを挙げた。
一方で、コスト面については、治験費用全体の中での治験実施施設への支払い
費用が増加している点を挙げ、「構造的、習慣的といった理由で、十分な改善
が見られていない」と強調。「前回調査ではトータルで52%(施設へが25%、
SMO に27%)が支払われていたが、今回は61%(施設に39%、SMOに22%)が
施設に使われている」と指摘。SMOの支払いは減った一方で、施設への支払い
が増えたと報告するとともに、症例単価で比較すると163万円、今回は160万円
で、「残念ながらコストはほとんど下がっていない」と述べた。
同調査は、04年4月から05年3月末までの間に終了した臨床試験(29プロトコ
ール、604施設、4786症例)を対象に4項目(背景、スピード、コスト、患者
組み入れ)を調査したもので、昨年の調査とほぼ同内容。島谷氏は「幾つかの
変化が見られたものの、大きな変化はなかった」とコメントした。