日医、厚労省に要望書 06年改定「3%以上の引き上げ」求める
公開日時 2005/10/13 23:00
日本医師会は10月13日、尾辻秀久厚生労働相に対し、06年診療報酬改定につい
て、3%以上の引き上げを求める要望書を提出した。経済指標をもとに医療費
の伸び率を管理する「総額管理」導入に反対するとともに、医療の安全や質の
確保や小児・産科医療に対応する必要性を唱えた。
日医は「3%以上の引き上げ」の根拠として、医療従事者の人件費を賄うため
医療安全確保する費用が1.5%、新医療技術の保険導入といった医療の質を確
保する費用1.2%、小児・産科医療体制の整備費用が0.5%と主張している。
同日、厚労省内で会見した植松治雄会長は、「正式に決定か、アドバルーンか
わからない(報道が)ドンドンでている」と、政府が診療報酬引き下げを決定
したとする一部報道に強い不快感を示した。そのうえで「少なくとも3%以上
の診療報酬引き上げる必要がある」と強調。「尾辻大臣には厚労省の医療制度
改革試案の策定に向けて相談に乗らせてほしい」と申し入れたことも明かした。
診療報酬改定を巡っては、9月に衆院選挙で圧勝した小泉政権のもとで、財務
省や経済財政諮問会議が総額管理導入を軸に医療費抑制策を進めようとしてい
る。今回の要望書は、政府のマイナス改定を狙う世論誘導に対抗する目的だが
逆に日医の政治力低下を浮き彫りにした感は否めない。04年改定時には「マイ
ナス改定必至」と見られた状況のなか、結局、政治力で「診療報酬本体±0改
定」まで押し返した経緯がある。だが、06年改定では国民の圧倒的な支持を受
けた小泉政権に対抗できるか、難しい状況といえる。