中川近畿大助教授 分子標的薬に反応する患者同定法を提示
公開日時 2005/09/19 23:00
近畿大学医学部腫瘍内科の中川和彦助教授は9月16日、日本癌学会学術総会で
講演し、「イレッサ」や「タルセバ」などEGFR(上皮成長因子受容体)選択的
チロシンキナーゼ阻害剤の臨床的可能性について「非小細胞肺がんで、おそら
く生存期間を延長させると考えられ、従来使用していた古典的な薬剤とは異な
るポテンシャルを持っている」との考えを示した。
今後の臨床上の課題としては、▽効果を示す患者が限られるため、投与患者を
どのように選択するか▽SD(不変)やPD(進行)した患者に対する薬剤の臨床
的効果をどう判断するか▽クリニカルレジスタンスをどう克服するか―などを
挙げた。
投与患者の選択に関しては、▽人種(日本人またはアジア人)▽腺がん▽非喫
煙者または軽度の喫煙者▽女性―などを選択すべきとの見解を示した。
患者選択にあたっては、治療に反応する患者を同定するためのバイオマーカー
として、EGFR遺伝子の変異(ミューテーション)や、EGFR遺伝子のFISH(蛍光
ハイブリダイ ゼーション)陽性のほか、EGFR選択的チロシンキナーゼ阻害剤の
感受性に影響を与えるとされるHer2遺伝子のFISH陽性などの手法を挙げた。
日本の臨床現場においては「EGFR遺伝子の変異を見たほうが確実と考えられて
いる」と説明した。