独協医科大・寺野学長 ガスターのエビデンス構築
公開日時 2005/08/04 23:00
独協医科大学の寺野彰学長は8月3日都内で講演し、日本人の酸関連疾患にお
けるファモチジン(ガスター)のエビデンス構築を目的に実施された「FIREプ
ロジェクト」の結果を発表した。日本人と欧米人の胃酸関連疾患の違いに着目
した臨床研究で、(1)軽症のヘリコバクターピロリ菌陽性(2)日本人の消
炎鎮痛剤による潰瘍予防・再発予防(3)断食時の止血・再出血予防(4)胃
痛・胃もたれなど上腹部症状──などの症状には、ファモチジンが有効だった
と結論づけた。今後、胃潰瘍診療ガイドライン(GL)の改訂の際に、新たなデ
ータとして活用してもらう考え。
講演はアステラス製薬主催で行われたもの。同プロジェクトは、寺野氏がリー
ダーとなり、全国17大学の教授を中心に02年から3年間にわたり実施された。
試験結果は英国の消化器領域の雑誌「AP&T」に掲載されている。寺野氏は、
プロジェクト実施の狙いについて「GLで、日本人のデータの少なさを指摘する
声が、GL策定委員会にもあった」として、日本人独自のエビデンスを得る必要
があったと強調。日本人は酸分泌能が欧米人と比較して低いことや、ヘリコバ
クターピロリ菌感染率が高いため、日本人独自のエビデンスを構築したうえで、
日本人の特性にあった治療法の選定を行う必要があるとしている。