鳥居薬品・新中計 MR300人体制に縮小 抗HIV薬返還で「収益の大幅悪化は避けられない」
公開日時 2019/02/07 03:52
鳥居薬品は2月6日、2019年度~21年度の3か年の新中期経営計画を発表した。国内事業環境の厳しさが増しているほか、抗HIV薬6製品の国内販売権を導入元の米ギリアド・サイエンシズ社の求めに応じて返還することになったため、「(その)影響は非常に大きく、収益の大幅な悪化は避けられない」と判断。施策のひとつとして事業構造改革を進め、組織・機能・人員の最適化を図るとし、MR数は現在の500人体制を300人体制まで縮小させるとした。
同日、希望退職者の募集も発表した(詳報はこちら)。応募状況によっては19年度中にMR数が300人体制となることもありそうだ。
抗HIV薬6製品の情報提供・収集活動は、今年1月からギリアド単独で行われている。製品の製造販売承認の承継は19年末までに行う。承継が完了するまでは引き続き鳥居が製品流通を担う。6製品の17年度売上は約200億円。
■長期収載品は他社に承継も
新中期計画の経営目標数値は、「22年度の営業利益黒字化」とのみ掲げた。この営業利益には、新規導入品の獲得やM&Aなど新規事業投資に係る費用は除く。事業構造改革と成長戦略に取り組むことで、「収益構造を抜本的に改善するとともに、中長期的な成長のために必要な施策を着実に実施する」としている。
事業構造改革では、希望退職者の募集のほか、研究開発機能を親会社の日本たばこ産業(以下、JT)に統合し、支店の統廃合や本社組織の再編も行う。工場生産品目も段階的に縮小させる。長期収載品は、「今後の収益性低下を踏まえ、他社への承継、製造委託を進める」とした。重点領域かどうかや収益性などを考慮して、承継品目を決める。
■腎・透析、皮膚疾患、アレルゲンの3重点領域で新薬シフト
重点領域は▽腎・透析領域▽皮膚疾患領域▽アレルゲン領域――の3つ。これまではHIV領域を加えた4つを重点領域としていたが、今回、HIV領域を外した。
成長戦略では、JTとの共同開発品の上市及び価値最大化に取り組み、新薬シフトを進める。具体的には、アトピー性皮膚炎治療薬として申請中のJAK阻害薬delgocitinib(一般名、開発コード:JTE-052)、経口投与の腎性貧血治療薬としてフェーズ3段階にあるHIF-PHD阻害薬enarodustat(同JTZ-951)、リン吸着剤リオナ錠の鉄欠乏性貧血の適応追加(P3実施中)――の上市及び価値最大化を推進する。
MRやMSLの「更なる能力向上」にも取り組む。同社によると、MRに専門知識のプログラムを導入することなどを行う。