鼓動を止めずに心臓移植
公開日時 2013/04/16 05:00
全人口の8%、約2700万人がなんらかの心臓疾患に悩まされていると言われているアメリカ。最近の話題は、ドナーの心臓の鼓動を止めないまま行う心臓移植だ。ドナーから取り出した移植用心臓を小型の人工心肺に接続し、鼓動を止めないままレシピエントに移植するという手術法は、2006年に英国ケンブリッジ大学の研究者によって行われたのが最初である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
この移植法の特徴は、レシピエントの術後の回復が著しく改善することで、ヨーロッパで報告されたところによれば、20ケース中19ケースで、患者は術後24時間以内に集中治療室を出て一般病棟に移っており、残る1例も48時間以内に集中治療室を出ている。術後2−3日は集中治療室に滞在するのが常識とされていた従来の手術法に比べ、格段の回復スピードである。
新技術に拠る心臓移植の成功例は、すでにヨーロッパで100、米国で40あり、このまま良好な臨床データが蓄積されれば、2014年中にもFDAの認可を得て米国で普及する見込みである。