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【ATSリポート】リネゾリド 人工呼吸器関連肺炎においてバンコマイシンを上回る有効性示す

公開日時 2011/05/24 03:00

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に起因する人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する抗菌薬・リネゾリドの有効性が、バンコマイシンを上回る可能性が示された。人工呼吸器関連肺炎患者を対象に、2剤を直接比較した二重盲検下ランダム化比較試験の結果から分かった。米国Washington Hospital CenterのA.F.Shorr氏らが、5月13~18日まで米国コロラド州・デンバーで開催された米国胸部学会議(ATS)2011で、5月16日のPoster Discussionセッションで報告した。


これまでに行われたレトロスペクティブ(後ろ向き)の解析により、MRSA起因性の院内肺炎に対する初期治療として、リネゾリドはバンコマイシンに比べ、有意に良好な生存率と臨床的治癒率を示すことが報告されている。最近行われた、MRSA起因性の院内肺炎患者を対象にした二重盲検下ランダム化比較試験でも、同様の結果が示されている。


試験は、このような状況を踏まえ、人工呼吸器関連肺炎患者を対象に、治療効果をリネゾリドとバンコマイシンで比較するのを目的に実施された二重盲検下ランダム化比較試験。


人工呼吸器関連肺炎と診断されたすべての患者1225例を①リネゾリド(600mg、1日2回)投与群618例②バンコマイシン(15mg/kg 1日2回)投与群607例――の2群に分けた。


このうち、菌血症を除いたMRSA起因性と判断されたリネゾリド群224例、バンコマイシン群224例を解析対象とした。主要評価項目は、治療終了時の臨床的効果。人工呼吸器関連肺炎の兆候、症状の改善を指標とした。また、治療薬との因果関係が否定できない有害事象、重篤な有害事象なども検討した。


患者背景は、合併症、重症度などを含め、2群間に差はみられず、バンコマイシン投与群では最高血中濃度が15mg/dLを超える患者が6割を超えていた。


その結果、臨床的効果は治療終了時に、リネゾリド群で78.6%に対し、バンコマイシン群で65.9%だった(95%CI:2.0~23.3)。一方、試験終了時では、リネゾリド群で52.1%に対し、バンコマイシン群で43.4%だった(95%CI:-3.5~21.1)。


細菌学的効果は、治療終了時に、リネゾリド群で76.6%、バンコマイシン群で57.7%だった(95%CI:7.9~29.8)。試験終了時では、リネゾリド群で56.2%、バンコマイシン群で47.1%だった(95%CI:-3.5%~21.1%)。


一方、試験開始28日後の総死亡は、リネゾリド群で19.4%、バンコマイシン群では18.4%で2群間に大きな差はみられなかった。1件以上の有害事象を発現した症例は、リネゾリド群で91.4%(127例)、バンコマイシン群で84.4%(124例)だった。治療薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象が1件以上報告されたのは、リネゾリド群で1.4%(2例)、バンコマイシン群で5.4%(8例)だった。両群ともに、治療薬との因果関係が否定できない有害事象としては、下痢が最も多く報告された(リネゾリド群:7.9%、バンコマイシン群:9.5%)。そのほか、リネゾリド群では静脈部位の合併症、バンコマイシン群では腎障害が4.1%(6例)などが報告された。


結果を報告したShorr氏らは、「この臨床試験は、有意差を示すのに十分なパワーがないにもかかわらず、治療終了時にはリネゾナリド群でバンコマイシン群に比べ、有意に良好な
結果を示した」とした。ただし、試験終了時には両群間に有意差は認められなかったとした。一方で、死亡率や有害事象などについては、両群間に大きな差は見られないとした。
 

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