抗菌薬市場 新規抗菌薬の上市効果は2019年で20億ドル ただ市場全体は縮小
公開日時 2011/03/09 04:01
英国の市場分析会社データモニターによると、今後10年間に多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が原因となる重症感染症の治療薬が複数上市され、その売上規模は2019年までに約20億ドルに達すると予測した。ただ、抗菌薬市場全体でみると、ジェネリック医薬品の参入などで、売上規模は2009年の196億2000万ドルから、2019年には164億1000万ドルまで縮減すると分析している。
今後上市が見込まれる抗菌薬には、フォレスト・ラボラトリーズ、アストラゼネカ、武田薬品のTeflaro(一般名:セフタロリン)、ノバルティスとパラテック・ファーマシューティカルズのPKT0796、トリウス・セラピューティクスのtorezolidなどがある。このうちTeflaroはMRSAに対する殺菌作用を持ち、幅広い病原体に有効とされる。また、torezolidは1日1回の経口剤でMRSA感染症に効くという。
一方、ニューキノロン系合成抗菌薬レバキン(日本販売名:クラビット)は、呼吸器系や泌尿器系感染症で高い効果を有していることから、今後10年間はマーケットリーダーの地位を保持すると見通した。
◎日本市場もジェネリック薬参入などで縮小避けられず
抗菌薬市場の見通しは、新薬の上市で2019年までに20億ドルの売上を確保できるとしているが、一方でジェネリック医薬品の参入や安全性への懸念など種々の要因を加味しても市場の衰退を相殺するには至らないとし、市場全体の縮小は避けられないとした。日本市場も同様で、2009年の35億6000万ドルから、2019年には30億ドルまで落ち込むとしている。