米投資ファンド・ブラックストーン CRO大手・シミック買収 株式60%取得 海外ベンチャーとNW構築
公開日時 2025/03/04 04:52
米投資ファンドのブラックストーンは3月3日、CRO大手のシミックを買収すると発表した。シミックの株式を60%取得する。ブラックストーンは米国を中心に製薬企業やバイオテック企業と強いネットワークを有している。シミックは、「ブラックストーンとの協業により、有力な海外バイオベンチャー企業とのネットワーク構築が可能になる」として、海外バイオベンチャーとの連携も視野に入れ、事業を成長させる姿勢を強調した。将来的な株式上場も視野に入れる。なお、同社は24年3月にマネジメント・バイアウト(MBO)により、上場を廃止していた。
両社は同日、戦略的提携で合意した。シミックは5月1日付で、ブラックストーンが60.0%、シミックホールディングスが40.0%を保有する持株会社の下で事業を展開することになる。
シミックHDは、ブラックストーンとCRO事業における戦略的資本提携で合意したことを公表する中で、CROを取り巻く事業環境が大きな変革期を迎えており、従来以上に高品質で効率的な医薬品開発支援を提供することが求められていると指摘した。その上で同社は、「変革期を勝ち抜く組織への進化、非連続成長の実現に向けて、新たなパートナーの探索を進めてきた」と説明。ブラックストーンが国内外で有する「ヘルスケア・ネットワークや知見、各種成長支援機能の活用とブラックストーン傘下の企業との連携強化」を通じ、「これまでのシミックのサービスをより進化させ、高品質で付加価値の高い医薬品開発支援を推進し、将来的な株式上場を見越した事業成長を目指す」としている。シミックグループの有するアジア各拠点とも連携し、アジアのリーディングCROへと成長する姿を描く。
ブラックストーンは医薬品・医療機器の開発に対する投資および上市までの支援を行っており、世界中で約 150製品の上市を主導した実績を有する。日本では24年にSMO大手のアイロムグループを買収するなど、海外バイオベンチャーなどが日本で医薬品開発を進めやすくする体制整備にも力を入れる。
◎ブラックストーン グローバルでも急成長する日本市場への注力示す
ブラックストーン・グループ・ジャパンの坂本篤彦代表取締役は、「今回の投資は、グローバルの中でも急成長している日本市場への注力と、日本およびグローバルで確立した当社のライフサイエンス関連分野のポートフォリオへの確信を表すもの」と説明。「私たちは、シミックの創業者および経営陣の皆様と協働させていただくことを大変嬉しく思い、ブラックストーンのスケール、運営に関する専門知識、ポートフォリオ全体での相乗効果を活かしながら、永続的な価値の創造を伴走する」とのコメントを寄せている。
シミックHDの中村和男代表取締役CEOは、「世界有数のオルタナティブ投資会社であるブラックストーンと提携し、シミック の成長をさらに加速できることを大変光栄に思う。今後、当社のポテンシャルをさらに発揮していく上で、ブラックストーンが重要な役割を担ってくれることを楽しみにしている」とコメントしている。
シミックグループは、1992年に日本で初めてCRO事業を開始し、今では開発から製造、営業・マーケティングまでの医薬品に関する総合的な支援業務を提供している。