バイエルとNPO虹色ダイバーシティ 「LGBTQと医療」テーマに動画制作 医療機関や企業研修で活用を
公開日時 2023/01/26 04:49
バイエル ホールディングと認定NPO法人・虹色ダイバーシティはこのほど、性的マイノリティであるLGBTQの当事者や支援者が自身の経験を語る動画「LGBTQと医療」を公開した。動画では5人の当事者と支援者が、見かけ上の性別による決めつけやカミングアウト、家族との関係など直面した課題について語っている。動画を通じ両者は、医療におけるジェンダー関連の課題を発信することで、社会での理解促進につなげたい考えで、医療機関や企業などでの研修に活用してほしいと呼びかけている。
◎「当事者の経験談」と「支援者の視点から」の動画2本を制作
制作した動画は、「当事者の経験談」と「支援者の視点から」の2本。このうち乳がんを経験した井上さん(40代)は、自身の性自認・性表現に男性や女性といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティのノンバイナリーでもある。動画では、治療前に出産の希望や抜け毛を隠すウイッグの用意など、女性であることを前提とした話をされたことに違和感を覚えたと話した。井上さんはまた、医療従事者に対し、「(LGBTQの)当事者が当たり前にいるという前提で患者と接してほしい」と呼びかけている。
ノンバイナリーの婦人科医Tさん(50代)は、月経について、「性自認が女性でないため辛い」と正直に相談してくる人が多くなったと感じている。一方で医療機関には、同性のパートナーを親族として認めるケースが一般的ではないなどの課題もあるとして、「医療従事者として社会に出る前の教育の段階で、(LGBTQに関する)知識を得ることが大切だと思う」と問題提起した。
◎虹色ダイバーシティのホームページに動画掲載
動画は、虹色ダイバーシティの
ホームページから視聴できるようになっている。同団体では、「どうしたらLGBTQもより安心して医療にアクセスできるようになるのか、それぞれの立場で何ができるのについて、研修などの場で考えてほしい」とコメント。ホームページには、研修を行う際のファシリテーター役の人に向けた補助資料も添付した。
バイエルは22年6月に、虹色ダイバーシティが運営する「プライドセンター大阪」の運営資金などとして500万円を寄附し、I&D推進に向けた協働を開始した。期間は3年間で、今回の動画は活動の一環として制作された。
バイエルのフリオ・トリアナ代表取締役社長は、「多様な性で構成されている顧客をよりよく理解するためには、私たちの組織においても多様な性や個性が尊重され、社員が安心して働き、能力を発揮できる職場環境を整えることが重要だ。動画が広く活用され、より多くの人が LGBTQ について理解を深めることを期待する」とコメントしている。