エーザイ 社員の働き方で「副業」、「ワーケ―ション」など制度化へ 転勤に依存しないキャリア開発も
公開日時 2022/09/22 04:52
エーザイは、社員の働き方の環境整備として「副業」や「ワーケーション」の制度化に向けた検討に着手した。9月21日開催の「価値創造レポート2022・ESG意見交換会」で明らかにしたもの。同社執行役の真坂晃之チーフHRオフィサーは、「副業制度は社員のキャリア形成や社外・社内への知識・経験などの還流を目的として導入を目指すもの」と強調。このほかリモートワーク普及に伴う裁量労働制拡大や転勤に依存しないキャリア開発施策の検証、週3日勤務制度導入もすでに検討しているとした。同社はこうした取り組みを通じて、社員が効率的にパフォーマンスを発揮でき、チャレンジできる働き方を追求したい考えだ。
同社はグローバルを含む全従業員に対し2021年度「エーザイ エンゲージ グローバル サーベイ」を実施している。この日公開された「持続可能なエンゲージメント」(生産的な職場環境や目標達成にむけた組織等への帰属意識を示すスコア)では、欧米、中国、アジア・ラテンアメリカの各地域が90ポイント前後を獲得したのに対し、エーザイ株式会社は74ポイント、国内関連企業は71ポイントだった。同社は、「文化的傾向からやや低めにでている」としながらも、「まだ改善の余地は大きい」と評価。働き方を含めて、社員が効率的にパフォーマンスを発揮できる環境整備に注力する方針を人事戦略として注力する方針を示した。
◎「副業」 自らの経験・知識を社会に還元する機会を提供
こうしたなかで同社は働き方の環境整備に取り組んでいる。制度面では、社員がチャレンジできる環境整備として、①副業制度の導入、②ワーケ―ション制度の導入、③裁量労働制の拡充、④状況に応じた支援策の構築―などを検討する考え。「副業」については、“キャリア形成を考える”、“個人内多様性を高める”、“自らの経験・知識を社会に還元する”機会の提供の一環として制度導入を検討しているとした。また、「ワーケ―ション制度」は、自宅勤務の拡充やコアタイム廃止など、働き方改革を推進したことで有給取得率が低下していることに着目。「有給休暇取得推進策の一環として、旅行などレジャー先でテレワークを可能とする制度の構築を検討中」とした。
◎リモートワーク普及で裁量労働制拡充 週3日勤務制度導入も検討へ
一方でリモートワークの普及に伴い自由度の高い働き方に関心が高まっていることを踏まえて2023年4月から裁量労働制を拡充することを決めた。具体的には、専門業務型裁量労働制の拡大と、企画業務型裁量労働制を新設するというもの。このほか、転勤に依拠しないキャリア開発施策の検証や、週3日勤務制度導入に向け検討など、ワークライフベストの追求や、社会参加機会の増加など、社員の状況に応じた支援策についても環境整備を進める方針を示している。
◎社内・社外で自発的成長を促す研修プログラム「EKKYO」 社内研修200人が参加
制度面以外にも、社員に対して自発的成長を促す研修プログラムを用意した。真坂晃之チーフHRオフィサーは、「職経別、階層別の研修プログラムを基本としつつ、学びや挑戦機会の提供、また社外からの知識や経験を狙ったダイバーシティの推進、経営人財育成といったカテゴリーで研修プログラムを策定している」と述べた。同社は、社員が将来のキャリアを考えるきっかけとして現業以外の職務について聞いたり見たりする機会を設けている。具体的には、「EKKYO」(社内インターンシップ)と、「社外EKKYO」(社外越境による人材育成)の2系統による研修プログラムを社員に提供するもの。すでに社内インターンシップには200人が参加した。一方で、社内では経験できない知識や経験の習得機会を得る社外EKKYOには31人が挑戦していることを報告した。