国がんとJETRO 国内外のイノベーション共創で包括的連携推進協定締結 米研究所・スペイン企業と協定
公開日時 2021/10/14 04:51
国立がん研究センター(NCC)と日本貿易振興機構(JETRO)は10月13日、千葉県柏市で記者会見を開き、国内外のイノベーションの共創を柱とする包括的連携推進協定の締結を発表した。革新的新薬の創出や医療機器の開発を目的に、JETROの紹介する海外企業やベンチャーとNCCとの間で産学連携を促進するというもの。加えて、NCC発スタートアップの海外展開支援をJETROが支援する。第一弾として、9月に米フレデリック国立がん研究所と「AI診断と創薬を中心とする連携協定」をNCCが締結。さらに、スペインのアルジュナ・セラピューティクスとNCCの間で「難治性がん創薬に係る共同研究契約」を結んでいる。
NCCとJETROの包括的連携推進協定は、ヘルスケア分野、ライフサイエンス分野で相互に連携し、学術研究や人材育成、産学連携等での国際的な展開を推進することで、国内外の健康課題解決に寄与することを目的とする。具体的な施策では、①国内外企業(海外企業、在日外資系企業等)等とNCCとの共同研究・連携の促進、②NCC発・関連スタートアップ等について、JETRO海外事務所や提携アクセラレータ(グローバルアクセラレーションハブ)などを通じた海外での事業展開や海外企業との連携支援-などを想定している。
◎国がん・中釜理事長「新しいモダリティの活用機会得た」 JETRO・佐々木理事長「多面的連携に期待」
協定締結の調印に臨んだ国立がん研究センターの中釜斉理事長は、「グローバルな視点で経験豊富な日本貿易機構(JETRO)と連携できるということは、新しい分野の開拓や新しいモダリティの活用などの機会を得たことであり大変嬉しく思う」と強調。「これまで以上に国際的なリーダーシップを発揮できるような研究を実現していきたい」と意欲を示した。
一方、JETROの佐々木伸彦理事長は、「最近はイノベーション創出のため、海外と日本の研究機関やスタートアップとのマッチングに精力的に取り組んでいる。これまでも千葉対日投資招へい事業として、海外企業をNCCに紹介してきた」と契約締結の背景を披露。今年2月には千葉グローバルヘルスケアビジネスフォーラムにおいて海外企業との面談を実現するなど、「NCCとJETROが多面的な連携を図り、千葉からイノベーションの国際産学連携やスタートアップの海外展開が複数誕生することを期待したい」と強調した。
◎米研究所と「AI診断と創薬を中心とする連携協定」 スペイン企業とは共同研究契約
すでにNCCとJETROの間では海外機関や企業との連携がスタートしている。国立がん研究センター東病院の大津敦院長は、①フレデリック国立がん研究所(米国)との連携協定、②アルジュナ・セラピューティクス(スペイン)-共同研究契約-を今年9月にそれぞれ締結したことを報告した。いずれも2019年度に開催した「千葉対日投資招へい事業」がきっかけでJETROが支援したものだ。フレデリック国立がん研究所とは「AI診断と創薬を中心とする連携協定」を結んでいる。一方のアルジュナ・セラピューティクスとは、最も悪性度の高い脳腫瘍など、難治がんを対象とした医薬品の研究開発に取り組むことになっている。