アルフレッサホールディングスの荒川隆治代表取締役社長は7月21日、本誌取材に応じ、商物分離をきっちりした上でMSが得意先の要望に応じてリモートMRにつなぐ活動に特化できる体制の構築を進める考えを明らかにした。MSが得意先を訪問した際に、医師の情報ニーズに応じ、自身のiPadからリモートでMRにつなぐ活動を支援するというもの。新型コロナの感染拡大に伴い、MRのFace to Faceによる活動が低下するなかで、MSが高付加価値の提案活動に徹することで、医療現場を支援する狙いが込められている。荒川社長は、「新型コロナになってから始めたもので、この評判が非常に高い」と強調。「バーチャルとリアルの共有は強力な武器になり、シナジー効果も期待できる。MSの立ち位置がしっかり確立できる」と胸を張った。
アルフレッサは、MSに医療経営士の資格を取得させており、すでに有資格者も1930人規模にまで膨らんできた。荒川社長は、「資格を取得したMSが得意先の医療機関の経営者と同じ専門用語を使って語れる知識を持つことで、医療機関も安心して相談できるパートナーになりつつある」と指摘する。同社は厚労省が推進する地域包括ケアの進展を見据え、昨年だけで多職種種連携の会を775回も開催した。荒川社長は、「こうした地道な活動を継続することで、得意先のマインドシェアを確実にとれると思っている」と語ってくれた。
◎DX時代のMS機能 オンライン活用したハイブリッド型でアドバンテージ
一方で、荒川社長はMS機能をもう一弾ギアアップするために、「Webやオンラインを活用したビジネスプラットフォームの構築は不可欠だ」と強調する。これに続けて「従来のプッシュ型のMSから、DX時代のオンラインを使ったプル型プロモーションの両方を持つことでアドバンテージが取れる」と述べ、ハイブリット型モデルを目指す考えを明らかにした。
具体的な施策としては、リアルなMSが得意先の要望に応じ、リモート(バーチャル)MRにつなぐ活動を描いている。もともとMSには得意先の医師に会うためのドアノック機能が備わっている。新型コロナで製薬企業のMR活動が停滞するなかで、アポイントの取得に寄与するだけでなく、リモートで面談するため、移動時間や地理的要件などの課題解決につながるなどメリットが期待される。
荒川社長は、「MRの強い得意先もあるが、MSに比べると件数も限られている。また、MRによる訪問実績の無い医療機関も多い。そこに我々のMSが訪問して、トビラを開き、懐に入ったところで、iPad上でMRに登場して頂く」という形態で成果をあげているとした。
◎商物分離を前提にMSは付加価値の高い提案活動に割く時間を増やす
荒川社長はこうした取り組みについて、商物分離を前提に、MSについては付加価値の高い提案活動に割く時間を増やすと明言。「MSがやっている機能の半分位はオンラインにシフトできないかと考えている。そうすると時間が空くので、地域包括ケアにおける多職種連携や患者本位の付加価値の高い提案活動がもっとできるようになるのではないか」と強調した。
◎毎年薬価改定 いまは医療機関の後方支援に専念させて欲しい
このほか取材では、毎年薬価改定に伴う薬価調査についての見解をうかがった。荒川社長は、「9月の薬価調査もだが、実は(来年の)3月、4月の手間の方がはるかに膨大になる。できたら勘弁して欲しい。いまはコロナのために頑張っている医療機関を後方支援することに専念させて欲しい。医薬品の安定供給に専念させて欲しいというのが本音だ」と応えてくれた。