中外製薬 19年度12月期決算 過去最高の売上収益・営業利益・4半期利益を3年連続で達成
公開日時 2020/01/31 04:51
中外製薬の2019年度12月期通期業績は、売上収益6862億円(前年同期比18.4%増)、売上利益2249億円(同72.6%増)で大幅増収増益を確保した。ヘムライブラ関連の売上増に加えて、テセントリクをはじめとする新製品の市場浸透が業績を牽引し、過去最高の売上収益・営業利益・4半期利益を3年連続で達成した。同社は19年度を初年度とする新中期経営計画“IBI21”を進めているところ。小坂CEOは1月30日の業績発表会見で、「各プロジェクト・重要課題については計画通りの進捗だった」と総括した。
一方、2020年度の経営方針について小坂社長CEOは、①成長ドライバーの価値最大化、②次世代成長機会の連続創出、③個別化医療高度化・デジタル活用基盤の構築、④抜本的な構造改革実行・Sustainable基盤強化-を掲げた。ただ、経営環境をめぐっては、政府の薬剤費抑制策やバイオシミラー・ジェネリックの浸透加速など、国内のビジネス環境をめぐるリスク因子が拡大しているとも指摘する。
小坂CEOは、「国内市場は中外製薬のホームマーケットだ。確かに厳しい市場ではあるが、収益の基盤としてしっかりやっていきたい」と強調した。その上で、「我々の成長源は中外製薬独自の創薬だ」とも述べ、「ロシュの販売網を使って中外製薬独自の製品を世界の患者にお届けしたい」と指摘。ヘムライブラのような収益性の高い自社創製品の創出に注力することで、「将来的には50対50の関係を築きたい」と述べた。なお20年度業績見通しは、売上利益で7400億円(前年同期比7.8%増収)、営業利益2750億円(同22.3%増)を見込む。
◎4月実施の新人事制度は「pay-for-position」 MRの人事制度も「現在検討中」
小坂CEOは新中期経営計画“IBI21”に絡めて、4月に新人事制度を導入する考えを明らかにした。これまでの年功序列や終身雇用を見直し、新たに「pay-for-position」の考え方を導入する。ポジションの要件を固めて報酬を払うというものだ。小坂CEOは、「ドラスティックにやるというのでなく、日本型人事制度との混合で行う。良い意味で厳しくなる」との考えを示した。
またMRを含む営業本部の人材についても、「MRを取り巻く環境を考えると減少していくことは間違いない。できる仕事も制限がある」と表明。「(中外製薬は)MR、メディカル、医薬安全性の3本部を軸に顧客にソリューションを提供するという基本的な考え方がある」と強調した。さらにMRの人事制度に関しては、営業手当・営業日当をどうするかを含めて「いま検討している」と述べ、4月に向けて議論に着手していることを明らかにした。