日医工 静岡工場に設備投資 抗菌薬セファゾリンの安定供給体制確立で
公開日時 2019/09/13 03:50
日医工は9月12日、欠品問題を起こした抗菌薬セファゾリンナトリウム注射用「日医工」の安定供給体制を確立するため、同社の静岡工場に設備投資すると発表した。投資予定額は15億円。既存の海外製剤委託先を維持しつつ、国内での一貫生産体制も確立する。同剤は黄色ブドウ球菌感染症の治療や、手術で感染症を防ぐためのキードラッグのひとつ。
今回の設備投資により、アイソレーターを介した無菌環境下での原薬調製設備を追加する。
同社では原薬をイタリアのA社とB社の2ルートで製造し、これまではA社ルートの原薬を静岡工場で最終製品化していた。B社ルートの原薬は海外製剤委託先で製品化し、輸入していた。今回の設備投資により、B社ルートの原薬も静岡工場で最終製品化できるようにする。
同社は、「一刻も早い供給再開に向け会社を挙げて取り組んでいる」としたほか、安定的な原薬確保のための原薬の出発物質の複数化、原薬製造ルートの複数化も進めているとしている。
欠品問題はA社ルート、B社ルートの両方で原薬供給問題が発生して起こった。日医工がA社ルートから購入している原薬に18年末から異物混入ロットが急激に増え、製造できない状況となった。今も製造できていない。
B社ルートは、同薬の原薬の出発物質のひとつであるテトラゾール酢酸(TAA)を世界で唯一、中国のTAAメーカーが製造しているが、環境規制の問題で中国当局の指示により、全世界で供給停止となった。結果、B社のTAAの在庫がゼロとなり、日医工も19年2月末に採用全医療機関に供給停止の案内を始めた。
その後、TAAは3月から供給が再開され、B社ルートでの原薬製造も再開した。日医工はB社ルートの原薬の最終製品化を、既存の海外製剤委託先に加え、今回、日本でも行えるようにする。