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中分子医薬品の原薬 年間100kg超製造可 国内最大 ぺプチスター新工場竣工

公開日時 2019/07/11 03:51
次世代創薬として期待される“特殊ペプチド”の原薬製造を中核事業とするペプチスターは7月10日、大阪本社で新工場の竣工式を行った。特殊ペプチドを含むペプチドの原薬を、2つの新工場で年間、計100kg以上製造できる。この規模は国内最大級という。10月から本格稼働する予定。製造コストが抗体医薬よりも安価な特殊ペプチドを実用化することで、経済性を兼ね備えた革新的新薬の創出に貢献する。

特殊ペプチドは、特定の細胞や組織への結合力や選択性が高い。薬物を科学的に結合させることで副作用の軽減も期待される。分子量が低分子と抗体医薬の中間に位置することなどから「中分子医薬品」とも呼ばれる。東京大学発の技術をもとに創業し、特殊ペプチド医薬の周辺知財を保有するペプチドリームを中心に、国内外の製薬企業が特殊ペプチドの研究開発を加速させている。

ペプチスターは2017年9月にペプチドリーム、塩野義製薬、積水化学の3社共同出資による合弁会社として設立された。世界をリードする特殊ペプチド原薬の製造受託企業を目指す。その後、3社のほかに産業革新機構、ベンチャーキャピタル、多くの民間企業も出資した。産業革新機構はオープンイノベーションの推進を通じた次世代産業の育成に向けて法律に基づき設立された企業。総額約2兆円の投資能力を持つ。

この日の式典であいさつしたペプチドリームの窪田規一会長(ペプチスター前社長)は、内閣官房での打合せの席で官僚から「いよいよ稼働ですね。期待しています」とゲキを飛ばされたと振り返りながら、「国家プロジェクトと銘打った会社が、この会社(=ペプチスター)。予定通りの竣工は嬉しいが、非常に長いマラソンのスタートラインに立ったところ。しっかり走っていけるか、皆さんとこの会社を大きくしていきたい」と話した。

吉村洋文・大阪府知事は祝電を送り、「画期的な次世代医薬品として注目を集める特殊ペプチド原薬がいよいよ大阪から世界の市場に供給される」とし、「ペプチスターが大阪、関西のみならず、我が国のリーディングカンパニーとして大きく飛躍することを期待する」と述べた。

■亀山社長 原薬受託製造で「ベースになるのはペプチドリームのアライアンス先」

新工場のうち製造棟1は約20kg以上/年(2ライン)、製造棟2は約80kg以上/年(1ライン)の製造数量となる。製造棟2のペプチド原薬の製造の最終工程で用いる精製・凍結乾燥設備は世界最大級という。

ペプチスターの亀山豊社長は式典後の会見で、「当社は特殊ペプチド原薬を製造する会社であり、我々の強み」と強調した。まずは10月から、受託している治験用のペプチド原薬を製造するとしたものの、詳細は非開示とした。(写真:玉串を神前にそなえる亀山社長)

今後の事業展開については、「ベースとなるのはペプチドリームのアライアンス先」と述べた。ペプチドリームの提携先との研究開発案件は特殊ペプチドに関するもの。このため、「100%すべてが当社で原薬製造するとの話にはならないと思うが、我々の技術を活かせる場面が多いだろうと想定している」「我々の顧客として大きな位置づけになる」と話し、各社と今後検討していきたい意向を示した。 
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