武田薬品の長谷川閑史相談役が6月27日、退任した。2003年に前社長の武田國男氏から社長職を引き継ぐ。社長就任前から「グローバルで競争力ある会社に変革する」を旗印に社内構造改革に取り組んできた。「主力製品の特許切れを克服し、成長を維持するためには、事業のあらゆる面でグローバルに競争力のある会社に変革することが課せられた使命と考えた」(5月15日・湘南アイパークでの講演)と長谷川氏は振り返る。人種や性差、国籍を問わない組織の構築に注力し、2014年にクリストフ・ウェバーCEOにバトンを譲った(写真は2016年1月号、
本誌対談より)。
「会社を去った人もいる。痛みは決してイージーではなかった。しかし、いまのようなグローバルにコンペティティブな状況に近づいた」-。武田薬品のグローバル展開を戦略目標に掲げ、大きく舵を大きく切った当時の想いを振り返った。
5月15日の講演で印象に残った言葉がある。「最新テクノロジーが様々な産業に破壊的イノベーションを引き起こす中で、こういう変革は脅威だが、チャンスでもある。いまこそ日本の製薬企業がグローバルのトップに躍り出る気概を持つタイミングになった」-。社会構造改革と薬剤費抑制で揺れる日本の製薬産業全体に向けられた、長谷川氏ならではの応援メッセージに聞こえた。