オバマケア反対論者のトム・プライス氏がHHS新長官に
公開日時 2016/12/01 03:50
ドナルド・トランプ次期米大統領が11月29日、次期保健福祉(HHS)長官にトム・プライス下院議員(共和党:ジョージア州選出)を指名した。同氏がいわゆるオバマケア(The Affordable Care Act)の強硬な反対論者であるだけに、HHS長官として、どのような方針を打ち出すか注目されている。
米議会専門誌「STAT」は、同誌のプライス議員に対するヘルスケア関連課題についての過去の取材から同氏の考えを紹介した。Price氏は、整形外科医で下院の予算委員会委員長を務めている。
ヘルスケア制度については、メディケア(公的高齢者保険)のような連邦政府が運営する保険制度は、保険給付される薬剤や治療の種類やその償還率などを制限しているため、医師や患者の選択が制限され、医薬品にとっては好ましくないとの考えを示している。共和党主導となった議会で、メディケアを全面改訂し、バウチャー制度(医療サービスに対する引換券発行)を推進したいとしている。
◎州政府ごとのデータべ―ス構築で医療費の透明化図る
オバマケアに代わる新たなヘルスケア制度では、州政府に開業医、病院など医療供給者の質の評価や医療機関が請求する料金を公開するデータベースを設置することを認め、透明化を図ることを提唱している。
ジョー・バイデン副大統領主導のがん撲滅計画”Cancer Moonshot Program”については、当然ながら医療研究は支援するとしながらも、政府に「白紙の小切手」は与えないと述べた。さらに、共和党議員は全員がん研究の予算を増やすことには賛成であるが、(民主党のように)他の目的の予算も減らしたくないとしながらも、常にそこ(Moonshot)に予算をつぎ込むことは問題だと指摘した。
メディケアで購入する医薬品について政府の価格交渉権を持たせることを大統領選挙戦中、トランプ氏、ヒラリー・クリントン氏がともに提案していた。これについては、2007年に民主党が提唱した際に、「何の役に立つのか分からない解決法だ」と批判していたという。そもそも共和党の従来の主張とは異なった提言を訴えていたトランプ氏が、このプライス氏の発言をどう考えているのかは不明である。