米FDA GLP-1受容体作動薬Trulicityを承認
公開日時 2014/09/24 03:50
米食品医薬品局(FDA)は9月18日、米イーライリリーのGLP(グルカゴン様ペプチド)-1受容体作動薬Trulicity(dulaglutide)を2型糖尿病患者における食事および運動療法を併用した血糖管理改善の適応で承認した。
Trulicityの剤型は皮下注射で、0.75mgおよび1.5mg単回投与ペン。用法用量は1週1回投与。 FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMary Parks医薬品評価第2部長は、2型糖尿病は重大な疾患と指摘したうえで、「Trulicityは、2型糖尿病の管理全体において、単剤および既存療法との併用が可能な新たな治療オプションである」と同剤のよる治療選択肢拡大を歓迎した。同剤の有効性・安全性は、3342例を対象とした6本の試験で検証された。
Trulicityは単剤およびメトホルミン、スルホニル尿素製剤、チアゾリジン誘導体製剤および食前インスリン製剤を含む糖尿病薬との併用で観察されたが、同剤投与群では、HbA1C値の改善を示した。同剤は、1型糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、重症の胃腸障害を有する患者には使用できない。また、食事および運動療法で十分に管理できない患者にはファーストラインとして使用できない。
同剤の枠組み警告では、同剤のげっ歯類の動物試験で甲状腺腫瘍(甲状腺C細胞腫瘍)が観察されたが、同剤がヒトにおける甲状腺髄様がん(MTC)と呼ばれる種類のがんを含む甲状腺C細胞腫瘍を引き起こすかどうかは不明であることが記述された。同剤は、MTC病歴のある患者および家族、また、多発性内分泌腫瘍症2型の患者には使用できない。
FDAは、Trulicityについて以下の市販後試験の実施を求めている。
*小児患者における用量設定、有効性、安全性試験。
*同剤に関して、MTCが増加するか否かを見極めるための少なくとも15年間のMTC症例の登録の実施。
*2型糖尿病で中等度もしくは重度の腎障害のある患者における、同剤とインスリングラルギンとの比較試験。
*心血管疾患の基礎リスクのある患者における同剤の心血管リスクを評価するための心血管アウトカム試験―など。
FDAはまた、同剤について、安全性確保策である「リスク評価・緩和戦略」(REMS)の策定を承認した。
イーライリリーの糖尿病事業部門、Lilly DiabetesのEnrique Conterno部門長は、同剤の承認を歓迎したうえで、「リリーはいまや経口剤、GLPおよびインスリンと様々な種類の糖尿病治療薬をもっている。Trulicityが2型糖尿病患者の新たな選択肢として、GLP1-クラス薬剤の成長に寄与するだろう」とコメントした。
なお、国内では、イーライリリー日本法人が、今年7月31日に同剤について、2型糖尿病の適応で厚労省に承認申請を行っている。