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アメリカの医療費 たとえば大腸内視鏡検査

公開日時 2013/06/19 05:00

アメリカでは医療の価格を知ることがむずかしい。以前から折々このオンラインニュースにも書いてきたが、医療機関によって、医師によって価格が異なるのはもとより、同じ医療機関で同じ医師から処置や治療を受けても、その価格は、保険会社によって異なり、同じ保険会社の同じ保険でも、その保険に加入している団体(例えば企業)によって異なるというふうに、一律ではなく、ケースによって千差万別だからだ。だが、この事実は,実は、アメリカ人にもあまり知られていない。


最近ニューヨーク・タイムズ紙が大腸の内視鏡検査でいくら請求されたかを取材した結果を報道したところによれば、ニューヨークのある病院では6385ドル、同じニューヨークの別の病院では9142.84ドル、ニューハンプシャー州の病院では7563ドル、ノースキャロライナの病院では1万9438ドルであったという。
 


“The $2.7 Trillion Medical Bill” (2013年6月2日)
http://www.nytimes.com/2013/06/02/health/colonoscopies-explain-why-us-leads-the-world-in-health-expenditures.html?pagewanted=all&_r=0


だが、これは保険会社からの額面上の請求なのである。日本では想像がつきにくいと思うが、米国では、ここから保険会社による医療機関への値引き交渉が始まり(だから、最初の請求書を見て額面通りにあわてて支払ってはいけない)、交渉の進展にしたがって、時に1度ならず改訂された請求書が重ねて送られてくるので、最後の(確定)請求書の額面に対して支払いを行えばよい。ちなみに、慌てて最初の請求書の額面通りに支払ったらどうなるのか?保険のプロに聞いても「知らない」という回答が返ってくる。「笑えない笑い話」以上の現実である。


さて、ニューヨーク・タイムズ紙は上述の4つのケースについての追跡調査を行っており、いずれも3500ドル以上で交渉が決着したと報じている。が、一方で、同誌が引用している国際機関による調査結果では(2012年)、大腸の内視鏡検査の全米平均価格は$1,185であった。「市場原理にたつ医療」の現実だ。

 


 

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