京大iPS研、住友化学、大日本住友 iPS細胞の製造で共同研究 商用化見据え
公開日時 2018/12/25 03:50
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と住友化学と大日本住友製薬は12月21日、治療用の製品に用いるiPS細胞の品質向上に向けて、製造技術、製造プロセスの見直しなどについて共同研究を行うと発表した。CiRAと京大病院は「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」を大日本住友と連携して進めている。その治験用で製造実績はあるものの、商用化を見据えると大量かつ安定的な製造が必要になることから、必要な製造技術について2年かけて研究することにした。
治験では、CiRA付属の細胞調製施設(CPC)であるFiT(Facility for iPS Cell Therapy)で樹立したiPS細胞を、大日本住友製薬が 拡大培養してマスターセルバンクを作製し、それを FiT で治験に用いるドパミン神経前駆細胞を製造する工程となっている。研究するのは、セルバンクにおいて主に品質向上を狙いとするもの。
CiRAの山中伸弥所長は、「iPS細胞技術の成果を患者さんに届けるためには、基盤となる安定した細胞培養技術の確立が不可欠である。アカデミア発の治験において細胞製造を担当した FiTの製造・品質管理の経験を住友化学および大日本住友製薬と共有することによって、臨床用 iPS 細胞の品質がさらに向上することを期待する」とのコメントを寄せた。
将来的には、FiTが行っている治験用の生産のほか、商用生産を大日本住友の再生・細胞医薬製造プラント「SMaRT」、大阪府吹田市)で行う予定になっている。