中医協総会 妊婦加算の凍結1月1日から 20年度改定で再検討へ
公開日時 2018/12/20 03:50
中医協総会は12月19日、妊婦が病院で診療を受ける際に医療費に上乗せされる「妊婦加算」について、2019年1月1日から凍結することを了承した。これにより、上乗せ分の医療機関への支払いも、妊婦からの徴収も停止される。今後厚労省は、有識者会議を設置し、妊婦をめぐる診療のあり方を議論したうえで、2020年度の診療報酬改定に向けた枠組みについて再検討する方針。
妊婦加算は、2018年度診療報酬改定において新設された。医療機関は、妊娠中の女性を診察すると、診療時間内なら初診時に75点、再診時に38点を初診料と再診料にそれぞれ上乗せできる。妊婦にきめ細かな外来診療を行うことを目的に新設されたが、コンタクトレンズの処方にも加算が適用されるなどといった事例が発覚。SNSやインターネット上を中心に批判が相次ぎ、自民党厚生労働部会など与党内からも見直しを求める声が上がっていた。
同日の中医協総会では、田辺国昭会長が根本匠厚生労働相宛ての答申書を新谷正義政務官に手渡した。答申書では、「算定凍結はやむを得ないとはいえ、誠に遺憾だ」とする一方、「継続することは、当初の妊婦加算の意図の実現が十分に期待できない可能性があると判断した」としている。
◎診療側・松本委員「手続きに違和感」
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「患者が納得するような要件を議論するという視点に欠けていた。コンタクトレンズの処方に加算を適用するなど、医療機関のモラルの問題もあった」と述べた。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「創設から1年も経過せず、調査や検証もないままに、加算の取り扱いについて諮問がなされることは、非常に異例なこと。手続きには非常に違和感を覚える」と指摘したが、「妊婦の診療のあり方を検討の場を設け、次回改定で再検討するという前提」で、結果的に了承した。そのうえで厚労省に対し、「患者や医療機関、審査支払機関などに速やかに今回の趣旨を伝え、現場の混乱を最小限に抑えてもらいたい」と注文を付けた。