厚労省 ACPの愛称を「人生会議」 11月30日を「考える日」に
公開日時 2018/12/03 03:50
厚生労働省は11月30日、患者や家族、医師らが人生の終末期における治療方針などを繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の愛称を、「人生会議」に決めたと発表した。ACPの普及を後押しするのが狙い。愛称選定委員会の座長を務めた国立成育医療研究センターもみじの家の内多勝康ハウスマネージャーは、「『私たちもそろそろ人生会議をしよう』などと、家族のなかで話してもらいたい」と呼び掛けた。また11月30日を、「いいみとり・みとられ」の語呂合わせで、ACPについて考える日とすることもあわせて発表した。
厚労省が3月に取りまとめた「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」の報告書では、医療・介護現場だけでなく、国民一人ひとりの生活へACPの考え方を浸透させることの必要性を指摘。医療・介護従事者の取り組みだけでなく、国や地方自治体が記念日の制定や学習サイトの開設などを通じて、広く普及啓発を図ることを提言していた。
愛称は8月から約1か月間一般公募され、1073件のなかから選ばれた。発表会では、同愛称を応募した聖隷浜松病院の看護師、須藤麻友さんが、「医療従事者として、患者は満足する最期が迎えられたかという疑問を日々感じていたから」と応募のきっかけを説明した。
選定委員のお笑い芸人の小籔千豊さんは、母親が亡くなった時の思いをビデオメッセージで寄せた。小藪さんは、「母親と2度と話せないと思うとやるせなく、不安な気持ちになった。たくさんの思い出や感謝、要望を家族に伝えて、生前に話し合っておけば、残された家族も後悔がない」とACPの重要性を訴えた。
また、24歳で乳がんの診断を受けたNPO法人マギーズ東京の鈴木美穂共同代表理事は、「高齢になってから死ぬわけではない。若いうちから死に向き合うことは、いかに生きるかということだ」と話し、若い世代も積極的にACPと向き合う必要があると呼びかけた。
愛称の選定委員会は、映画「おくりびと」の脚本家などとして知られる小山薫堂氏、サントリーホールディングスの新浪剛史代表取締役社長ら8人で構成された。