新薬9製品が8月29日に薬価基準に収載され、アストラゼネカの免疫チェックポイント阻害薬で、非小細胞肺がんの治療薬として承認されたイミフィンジ点滴静注(一般名:デュルバルマブ(遺伝子組換え))など新薬3製品が同日に発売された。
発売日(予定含む)が分かった製品は次のとおり。(カッコ内は成分名、製造販売元)
【8月29日発売】
▽イミフィンジ点滴静注120mg,同点滴静注500mg(デュルバルマブ(遺伝子組み換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:429
効能・効果:切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法
薬価:120mg2.4mL1瓶11万2938円/500mg10mL1瓶45万8750円
がん免疫療法薬で抗PD-L1抗体。AZによると、ステージIII非小細胞肺がん治療においては、日本で最初の抗PD-L1抗体。がん免疫療法薬で非小細胞肺がんの適応を持つオプジーボ(小野薬品)、キイトルーダ(MSD)、テセントリク(中外製薬)はいずれも、切除不能な進行・再発のケースを適応としているが、イミフィンジは、局所進行の根治的化学放射線療法後の維持療法と、他剤と適応が異なる。
治療選択肢が極めて限られている切除不能な局所進行の非小細胞肺がん患者の要望に応えるため、7月の承認以降行っていた厚労省の「保険外併用療養費制度」のもとでの無償提供は薬価収載に伴い終了する。AZによると、45施設153人の患者に提供した。
▽ガザイバ点滴静注1000mg(オビヌツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:429
効能・効果:CD20陽性の濾胞性リンパ腫
薬価:45万0457円(1バイアル)
対象疾患は、悪性リンパ腫の種類の1つで、リンパ球のB細胞から発生する非ホジキンリンパ腫。タンパク質CD20を発現しているB細胞を標的とし、CD20に結合して、B細胞を直接、体内の免疫系ともとに攻撃し、破壊するよう設計された抗体医薬。未治療患者を対象とした国際共同第III相試験で、リツキシマブ/化学療法群と比較して、無増悪生存期間の有意な延長が確認された。
中外製薬と日本新薬が共同で開発したもので、販売も共同で行う。
▽シグニフォーLAR筋注用キット10mg,同筋注用キット30mg(パシレオチドパモ酸塩、ノバルティスファーマ)
薬効分類:249
効能・効果:クッシング病(外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合)
薬価:10mg1キット(溶解液付)10万3034円 /30mg1キット(溶解液付)26万0258円
10mgと30mgは、今回の効能に併せて申請された新規格。これら2規格は、既承認の効能である先端巨大症などには使えない。クッシング病は良性下垂体腺腫からの副腎皮質刺激ホルモン過剰分泌によって副腎が刺激され、その結果、コルチゾールが過剰分泌されることにより、慢性的に高コルチゾール血症を呈する疾患。ムーンフェイスなどの体形変化を伴う兆候が特徴。指定難病で、特定医療費受給者証所持者は874人(2016年)という。
同剤はソマトスタチンアナログ。ホルモンを過剰分泌する良性腫瘍で発現しているソマトスタチン受容体に結合し、活性化することで、ホルモン分泌を抑制する医薬品。
【9月25日発売予定】
▽スピラマイシン錠150万単位(スピラマイシン、サノフィ)
薬効分類:641
効能・効果:先天性トキソプラズマ症の発症抑制
薬価:150万国際単位1錠 224.60円
妊婦がトキソプラズマに初感染した場合、トキソプラズマが胎盤を介して胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症を発症する可能性がある。感染すると、胎児は流死産、水頭症、脳内石灰化などが起こることがあるが、日本ではトキソプラズマ症に関する適応で承認されている薬剤はなかった。その中で日本産婦人科学会から開発要望が厚労省に提出され、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性が認められ、同省の要請を受けてサノフィが開発した。
【11月頃の発売予定】
▽レフィキシア静注用500,同静注用1000,同静注用2000(ノナコグ ベータ ペゴル(遺伝子組換え、ノボ ノルディスク ファーマ)
薬効分類:634
効能・効果:血液凝固第Ⅸ因子欠乏患者における出血傾向の抑制
薬価:500国際単位1瓶(溶解液付)21万6394円 /1000国際単位1瓶(溶解液付)42万7968円 /2000国際単位1瓶(溶解液付)84万6403円