流改懇で業界側 薬価改定は消費増税時に 毎年改定を牽制
公開日時 2018/05/31 03:50
日本医薬品卸売業連合会(卸連)と日本製薬工業協会(製薬協)は5月30日、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)で「消費増税に伴う薬価改定は増税時に実施すべき」と主張した。消費増税への対応を見据え、中医協はすでに18年9月に薬価調査を実施することを決めている。業界内では、毎年改定へつながりかねないことから、反発が強まっている。
卸連は、「薬価調査は、あくまで消費税引き上げ分を適正に薬価に転嫁するために実施するもので、19年10月の消費税引き上げ時に薬価改定は実施すべき」と主張。「薬価調査の実施後に消費税を引き上げないことが決定した場合には、調査結果を活用しないようにすべき」と釘を刺した。
政府が6月中に閣議決定する骨太方針には、2019年10月に消費増税を実施することが明記される。中医協では、過去の増税時の経緯から、適切な薬価への転嫁を行うことが可能になるよう、薬価調査の実施を了承した。一方で、2年に1度の通常改定と同様のスケジュールで薬価調査を実施することで、市場実勢価格に応じた薬価改定を行うことも可能になる。
そのため財務省は、今年9月に実施する薬価調査の結果を踏まえ、19年4月に市場実勢価格まで薬価を先行的に引き下げる考えを示しており、業界内では、毎年薬価改定につながることへの懸念が高まっている。さらに、政治の先行きが不透明であることから、消費増税が行われず、4月の薬価の引下げのみ断行されることへの懸念もある。