国立大学病院が共同で患者ベッドリサイクル コスト抑制へ
公開日時 2018/03/19 03:50
病院で使われなくなった患者用のベッドについて、全国38の国立大学病院が、下取りに出した部品を共同で再利用しあう取り組みが4月から始まる。参加する病院の院長らでつくる国立大学附属病院長会議が3月16日、都内で開いた会見で発表した。同会議によると、病院の枠組みをこえたリサイクルは初めて。この日の会見ではこのほか、2018年の診療報酬改定について、高度急性期医療に手厚い配分を行うよう求めた。
ベッドのリサイクル事業は、廃棄物を減らし、コストを抑制することが目的。参加する病院と、都内の企業が協定を結び、4月から全国にどのような部品があるのかをデータベース化する。構築後は、お互いに部品を融通しあうことができるようになり、ベッドを安全に長く使うことができるとしている。同会議では、3年前から紙おむつやエプロンといった看護用の消耗品などの共同購入を始めており、コストの抑制につなげていた。
◎高度急性期は多角的な評価求める 実績評価だけでない手厚い配分を
2018年度診療報酬改定について会見で、山本修一常置委員長は、「高度急性期医療への報酬配分がほとんどなかった」との見方を示した。18年度改定は、改定率プラス0.55%で決着し、かかりつけ医や在宅医療などへの評価が手厚くなされた。一方で、大学病院の経営は悪化しており、十分な配分がなければ、「救うべき命が救えなくなり、国民からの医療に対する期待ギャップが生じる恐れがある」と懸念を示した。
急性期病院が算定する現行の7対1に相当する入院基本料(入院料1)で、重症度、医療・看護必要度が25%以上から30%以上に引き上げられた。ただ、特定機能病院については、認知症・せん妄患者が少ないことなどから28%以上に緩和されている。しかし、「基準変更は厳しい」との考えを強調。「重症度、医療・看護必要度による実績評価だけではなく、より多角的な視点からの高度急性期医療を行う施設を評価していただきたい」と要望した。