免疫生物研究所 アステラスとの共同研究終了 組換えカイコによるヒト型フィブリノゲンの商業生産断念
公開日時 2018/03/20 03:50
免疫生物研究所は3月16日、アステラス製薬と進めてきた遺伝子組換えカイコで生産したヒト型フィブリノゲンを原料とした医薬品の製品化を目指した共同研究契約を終了したと発表した。薬剤として使用するための目標コストを満たす生産量に到達することができず、商業生産への取り組みを断念することになったため。
フィブリノゲン製剤はヒト血液を原料としていることから、ウイルス汚染の危険が無い遺伝子組換え製剤として製造しようとする試みの1つ。両社は、2015年3月に「遺伝子組換えカイコを用いて生産されるヒト型フィブリノゲンの大量生産に向けた製造方法の検討等」「パイロットプラントによる試験生産」に関する共同研究契約を締結していた。品質的には天然型フィブリノゲンに遜色ない凝固活性を有する組換えフィブリノゲンの生産に成功したが、商業生産レベルに引き上げるに至らなかった。
組換えカイコが生産する抗体 抗HIV抗体を共同開発へ ベンチャーと
同社は同じ日に、バイオベンチャーのCURED(横浜市)と、遺伝子組換えカイコが生産する抗体を用いて抗HIV抗体の実用化に向けて共同開発を進めることで合意したと発表した。HIV感染細胞を破壊する作用が期待されるという。
CUREDは、熊本大学の松下修三教授の研究成果である抗HIV抗体群の独占的実施許諾を受けており、両社で、抗HIV抗体を生産する研究を行ってきた。今回、順調に進展したとして、共同で事業化を推進することを前提に共同開発に発展させることにした。