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【速報】薬価改定告示 新薬加算は314成分560品目 ルール見直しでジャヌビアも対象に

公開日時 2018/03/05 11:15

厚労省は3月5日、4月1日に実施する2018年度薬価基準改定を官報告示した。新薬創出等加算品目には、前回16年度改定まで同加算の対象ではなかったDPP-4阻害薬ジャヌビア/グラクティブ、エクア、ネシーナの3成分4品目や高脂血症薬ゼチーアなどが対象となった。一方で、前回改定では同加算の対象だった特許期間中の全ての抗認知症薬、過活動膀胱薬、糖尿病薬トルリシティ、抗リウマチ薬ヒュミラ、抗凝固薬のエリキュースやイグザレルト、抗がん剤のインライタやジオトリフ、喘息薬のフルティフォームやレルベア――などは対象から外れた。これは新薬創出加算のルール見直しによるもの。

以下の「関連ファイル」から、厚労省が3月5日午前に発表した2018年度薬価改定の概要と別添資料のほか、市場拡大再算定関係の対象品目の改定率一覧の資料をダウンロードできます(5日まで無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。

18年度改定では薬価ベースで7.48%の引き下げを実施する。特例拡大再算定や市場拡大算定を含むこれまでのルールに基づく改定分として6.17%の引き下げ、新薬創出等加算の絞り込みや長期収載品の更なる引下げなどを行う薬価制度抜本改革分として1.31%の引き下げを行う。

■新薬加算 前回から100成分減る カナグル、エリキュース、イグザレルト、ベタニス、メマリーなど対象外に

新薬創出等加算は314成分560品目に適用される。前回改定では416成分823品目に適用されたため、18年度改定では約100成分減る。品目要件による絞り込みが要因となる。新薬創出等加算の総額は810億円で、前回改定から250億円減少した。

同加算の適用品目では、どの品目要件を満たしたのかをみると、「希少疾病用医薬品」が147成分229品目と最多で、次いで薬価収載時に有用性加算などを得た「加算適用品」が91成分184品目だった。新規作用機序医薬品の収載から「3年以内、3番手」の要件に合致したのは17成分38品目だった。

例えば、今回同加算の対象となった降圧剤アジルバ、前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬ユリーフ、抗凝固薬リクシアナは薬価収載時にいずれも有用性加算を得ており、これが新薬創出等加算を得た理由とみられる。DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬は「3年以内、3番手」までの製品は全て新薬創出等加算の対象。6番手のSGLT2阻害薬ジャディアンスも「真の臨床的有用性の検証に係る加算」を得ていることから新薬創出等加算を得た。SGLT2阻害薬では、これまで新薬創出等加算を得ていたカナグルとザファテックが対象外となった。

リクシアナの競合品で、前回改定で新薬創出等加算の対象だったエリキュースとイグザレルトは今回、いずれも対象外。「加算適用品」かどうかが明暗を分けたとみられる。

同じく前回改定で新薬創出等加算の対象だったベシケア、ウリトス、ベタニス、トビエースといった過活動膀胱薬、メマリー、レミニール、イクセロン、リバスタッチといった抗認知症薬は今回、そろって対象から外れた。喘息薬ではアドエアやシムビコートが引き続き同加算の対象となる一方、16年度改定まで同加算を得ていたフルティフォームやレルベアは対象外となった。対象外となったこれら製品は「3年以内、3番手」の要件に引っかかったとみられる。

■企業要件 「区分1」に23社

新薬創出等加算での薬価維持の水準は、国内での開発実績などをポイント化した企業要件で決まる。最も高水準の「区分1」は23社で、「区分2」が54社、「区分3」が6社――だった。厚労省は各区分の企業名を明らかにしていない。

■新薬創出等加算の適用成分数 最多はノバルティス 上位7社は全て外資系

新薬創出等加算の適用成分数は、ノバルティスの25成分45品目が最多。2位はファイザーの23成分47品目、3位はサノフィの21成分26品目――となった。7位まで外資系企業で、8位タイにようやく内資系企業の協和発酵キリン、武田薬品、ノーベルファーマが入った。ランキング上位10社は以下の通り。

1 ノバルティス(25成分45品目)
2 ファイザー(23成分47品目)
3 サノフィ(21成分26品目)
4 ヤンセン(18成分29品目)
5 中外製薬(11成分22品目)
6 MSD(10成分18品目)
7 グラクソ・スミスクライン(9成分23品目)
8 協和発酵キリン(8成分18品目)
8 武田薬品(8成分15品目)
8 ノーベルファーマ(8成分9品目)

後発品が初登場するなど新薬創出等加算の要件を満たさなくなった新薬は、これまでに得た同加算相当額を18年度改定で返還する。これは57成分143品目が該当し、抗精神病薬のジプレキサやエビリファイ、抗がん剤のハーセプチンやリツキサン、糖尿病薬のグルファストやセイブルなどとなる。

■リツキサンは26%引下げ 特例拡大再算定のネキシウム、類似薬タケキャブは各16%引下げ

市場拡大再算定は9成分19品目、特例拡大再算定は2成分4品目、用法・用量変化再算定は3成分5品目――に適用される。

市場拡大再算定品目ではリツキサンが26.2%の薬価引き下げを受ける。これには後発品参入による新薬創出等加算の返還分、希少疾病の効能追加等に係る加算を含む。500mg50mL1瓶で改定後薬価は15万7855円となり、現薬価より5万6000円ほど安くなる。100mg10mL1瓶の改定後薬価は3万2212円、1万1000円ほど安くなる。

このほか、抗がん剤アフィニトール、慢性便秘症治療薬アミティーザはそれぞれ約23%引き下げ、A型ボツリヌス毒素のボトックス、骨髄異形成症候群治療薬ビダーザはそれぞれ約18%引き下げ、抗パーキンソン病薬トレリーフ、うつ・疼痛用薬サインバルタはそれぞれ14%引き下げ、解毒剤ブリディオンは約13%引き下げ、希少疾病の効能追加等に係る加算も得た血小板増加薬レボレードは約7%引き下げ――となる。

特例拡大再算定は、抗潰瘍薬ネキシウムが年間販売額1000億~1500億円、予想の1.5倍以上に該当することから適用される。最大25%引き下げとのルールだが、今回は16.1%の引き下げとなる。ネキシウムの類似薬のタケキャブも16.1%引き下げる。

■オプジーボは23.8%引下げ

用法・用量変化再算定はがん免疫療法薬オプジーボが対象となった。売上は1000億円超だが、15年12月の「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能追加の際に用法用量の変更も併せて行ったためで、より引き下げ幅の大きい同再算定を適用した。それにより薬価を23.8%引き下げる。改定後薬価は汎用規格の100mg10mL1瓶で27万8029円となり、現薬価から8万7000円ほど安くなる。

類似薬のキイトルーダ、バベンチオも同様に薬価を引き下げるが、両剤は約11%の引き下げとなる。

■市場撤退可能な「G1」の長期収載品は38成分85品目 注射薬に多く

最初の後発品収載から5年が経過し、10年を経過しないもののうち、後発品への置換え率が80%未満の長期収載品の薬価を追加引き下げするいわゆる「Z2」をみてみる。2.00%引き下げ(置換え率40%未満)は30成分60品目、1.75%引き下げ(同40%以上60%未満)は34成分79品目、1.50%引き下げ(同60%以上80%未満)は21成分68品目――。

新たに設けられた後発品収載後10年を経過した長期収載品の後発品価格への段階的な引き下げを行う、いわゆる「G1」「G2」「C」を見てみる。後発品置換え率が80%以上(=後発品への置き換えが進んでいる)「G1」区分の長期収載品は38成分85品目だった。G1の長期収載品の多くが注射薬で、例えば塩酸バンコマイシン、セファメジンα、カイトリル、タキソールなどが該当する。内服薬はアンカロン、小児用ムコソルバン、塩酸バンコマイシン散、ゾビラックス、ジフルカンだけだった。なお、G1の長期収載品は市場撤退できる仕組みが今回導入されている。

後発品置換え率が80%未満の「G2」区分の長期収載品は137成分293品目で、こちらは経口薬に多い。置換え率が低く、G1、G2による引き下げを受けない品目を補完的に引き下げる「C」区分の長期収載品は268成分572品目だった。

【訂正】下線部を訂正しました(3月5日19時)

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