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厚労省 流通改善GL策定へ 来年4月実施 国主導で推進 不遵守事例の公表、指導も

公開日時 2017/12/14 03:51

厚労省医政局は12月13日、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)に、流通改善を加速するため「医療用医薬品関係者が遵守すべき指針」(流通改善ガイドラン=GL)を策定し、来年4月1日から実施することを提案、了承を得た。流通改善は、これまでも流改懇の提言など基づき、関係者間で取り組まれてきたが、十分に進んでいない。一方で、医薬品流通の安定化と効率化、毎年薬価調査・薬価改定に向けては流通改善が必須であることから、改善を加速するため国が主導して進めることにし、一次売差マイナスの解消、単品単価取引の推進などの課題に対し、製薬企業、卸売業者、医療機関、保険薬局がすべき取り組みを明示し、改善に向けた行動を促す。同省は、流通関係者を対象にしたメールによる相談窓口を新設し、不遵守事例は公表するほか、流通に影響が大きいケースはヒアリング、指導を行う。

厚労省の武田俊彦医政局長は、会議冒頭のあいさつで、同省の薬価制度改革案で「流通改善は非常に重要なバートを占めている」と指摘した上で、GLについて「国が主導し、単品単価取引、早期妥結、一次売差マイナスを是正することが書き込まれていることに注目していくべき」と、国の指導が入る前にGLで明示された事項を関係者間が遵守し、改善に取り組むことを強く促した。併せて、GLの趣旨・内容を未妥結減算に取り入れるといった医療保険上の対応と連動して「遵守を求めていきたい」と、同省の姿勢を改めて示した。同省医政局は今後GLを策定、通知にまとめ、来年4月1日から適用する。

GLの目的に「過度な薬価差からの脱却」「透明な価格形成」「流通経費等の負担の公平性」

GLの目的には、薬価調査で適切な市場実勢価の把握を行うため「過度な薬価差が生まれる構造からの脱却」「透明な市場実勢価の形成に努める」ことを明記。加えて「流通関係者の経営実態に配慮しつつ、将来にわたる流通機能の安定性、流通経費の負担の公平性」の確保することを掲げた。そのうえでGL案では、製薬企業と卸売企業との取引上の留意事項、卸売企業と医療機関・保険薬局との取引上の留意事項のそれぞれを示した。

製薬企業と卸売企業との取引では「仕切価交渉のあり方」を取り上げ、「川下取引の妥結価格水準を踏まえた適切な一次仕切価の提示に基づく最終原価の設定」を求め、製薬企業側に妥結価格まで見据えた対応を促し、それにより一次売差マイナスの解消などを進めるとしている。

卸売企業と医療機関・保険薬局との取引では、全品目の単品単価契約が原則とした上で「少なくとも前年度より単品単価契約の割合を高めること」とし、価格形成の透明化を促している。また、「過大な値引き交渉の是正」を盛り込み、医薬品の価値の無視、卸売企業の安定供給や経営に影響を及ぼすような流通コストを無視した「値引き交渉を慎む」と明記した。取引契約のあり方にも触れ、「年間契約等のより長期の契約を基本とすることが望ましい」とし、それにより頻繁な価格交渉を避け、販売、購入の両サイドの交渉負担の軽減を図り、医薬品の安定供給業務に注力できるよう留意を求めている。

そのほか、不動在庫・廃棄コスト増で負担感が強い「返品」について取り上げ、「返品条件を流通当事者間で事前に取り決める」とし、契約に基づいて行うことを求めている。また、流通の効率化を妨げている頻回配送・急配についても、「コスト負担等について、安定供給に支障を来す場合は当事者間で契約を締結すること」と対応を求めている。
 
委員からGL実施上の課題、要望も
 
GLについて議論した13日の流改懇では委員から、GL実施にあたっての課題や要望が出た。折本健次委員(日本医薬品卸売業連合会理事)は、国が主導するとの文言が入ったことに触れ「これから、より真剣に取り組んでいかなければならないと受け止めている」と表明。そのうえで厚労省が、今回のGLの策定と併せて医療保険上の措置として「未妥結減算制度」での対応を検討していることを挙げ、「流通改善は医療機関や保険薬局だけの問題ではなく、メーカーの仕切価設定、卸側の対応の問題も重要なファクター」とし、川上流通の改善も重要であることを指摘した。

長坂良治委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会委員長)は「GLはメーカーから見ても好ましい」と述べた上で、仕切価については製品の位置づけや市場環境を踏まえ適切に設定してきたとし、薬価改定後も仕切価、割戻しの速やかな提示を周知してきたことなどを説明。今後について「非常に厳しい薬価改定があり、毎年改定も予定されるに中では、仕切価は各メーカーが考えることだが、各社はかなり厳しい対応にならざるを得ないだろうと思っている」との認識を示した。さらに単品単価契約について卸側の努力を認めた上で「実態としての単品単価もぜひ見てもらいたい」と述べた。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「流通改善は当然のこと」とした上で、中小薬局の経営が厳しくなる中で、高額な医薬品の登場、後発医薬品の数量増、処方日数の長期化により在庫負担が重くなっていることなどを挙げ「卸とは、より慎重に交渉するようになると思う」と述べた。それら状況を踏まえて、流通改善に資する契約を考えていかなければならないと課題を挙げた。

鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、GLの実効性を上げるには、経営主体や施設規模ごとにどの程度薬価差があるのかなど取引の実態を明らかにし、データに基づいて改善につなげていく必要性を強調した。
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