厚労省 入院評価で診療実績評価 データ利活用の報酬体系導入へ 中医協総会
公開日時 2017/12/07 03:51
厚生労働省は12月6日の中医協総会に、入院医療の評価体系の見直し案を提示した。「急性期医療」、「急性期医療~長期療養」、「長期療養」の3つの機能を軸に、看護配置など施設基準による評価(基本部分)と、実際の診療実績に応じた段階的な評価(実績部分)の組み合わせによる評価体系に再編・統合するというもの。医療機関経営の観点からみても、病床機能の転換に伴う打撃や損失を緩和する狙いも込められる。診療実績の評価は、DPCデータを用いた判定を要件化するほか、療養病棟入院基本料を算定している長期療養の機能を持つ病院であっても、診療実態を把握するため、データ提出の推進や、提出項目の見直しを行うとした。
入院医療はこれまで、急性期病院であれば看護配置を7対1、10対1と定め、提供する医療機能と、それに応じた看護職員配置など、医療資源の投入量を軸に診療報酬で評価してきた。ところが近年は地域における医療ニーズの多様化や、医療側の支え手の急速な減少が見込まれるなど、地域のニーズに応じて弾力的に対応できる評価体制の導入が求められていた。厚労省はこのため、新たな入院医療の評価体系として、看護職員の配置など施設基準による基本部分と、患者の状態や医療内容に対応した診療の実績部分のそれぞれを組み合わせて評価する考え方を示した。
具体的には、一般病棟入院基本料7対1、10対1を算定する「急性期」については、看護職員配置10対1と平均在院日数を評価体系の「基本部分」に据え、その病棟の入院患者の急性期割合に応じ、現行の7対1相当の要件を上限に、10対1までの段階的な点数を設定する。
一方、一般病棟入院基本料13対1、15対1を算定する「急性期医療~長期療養」の区分においては、看護職員配置15対1と平均在院日数を評価体系の「基本部分」に据え、その病棟の急性期受入実績に応じ、現行の13対1相当の要件を上限に、15対1までの段階的な点数を設定する。なお、この区分に相当する地域包括ケア病棟入院基本料(特定入院料、包括評価)については、自宅等からの受入れ実績を評価。回復期リハビリテーション病棟入院料(特定入院料、包括評価)については、リハビリによる機能回復の実績などを評価する。
さらに療養病棟入院基本料(20対1、25対1)を算定する「長期療養」については、看護職員配置20対1を評価体系の「基本部分」に据え、医療区分の患者割合を実績評価する。なお、療養病棟入院基本料2(25対1)は経過措置として整理するほか、診療実績を把握するため、データ提出の推進や提出項目の見直しなどを行うことも盛り込んだ。
◎診療実績評価などでDPCデータ提出要件の医療機関 範囲拡大へ
これに関連し、厚労省はこの日の中医協総会に、入院医療における「データ提出加算」の見直しの論点を提示した。入院基本料を算定する医療機関の診療実績を評価するためのデータの利活用が必要との判断によるものだ。
DPCデータの提出を要件とする医療機関について、①200床未満の10対1入院基本料、②回復期リハビリテーション病棟(入院料1、入院料2)、③200床以上の回復期リハビリテーション病棟入院料3、④200床以上の療養病棟入院基本料(20対1)-を算定する医療機関をあげた。これに該当しない200床未満の回復期リハ入院料3、200床未満の療養病棟入院基本料-を算定する医療機関については、要件化は行わず、データ提出が推進されるようデータ内容を見直すとしている。