PhRMA会員企業 ワクチン264剤を開発中
公開日時 2017/11/27 03:50
米国研究製薬工業協会(PhRMA)は11月9日、報告書「開発中の薬剤 2017年アップデート:ワクチン製剤」(Medicines in Development 2017 Update: Vaccines)を公表した。会員企業が開発しているワクチンは現在、合計264剤に達することが分かった。
報告書は、264剤のワクチン製剤の種類別では、感染症ワクチンが137剤、がんワクチンが101剤、アレルギー疾患ワクチンが10剤、自己免疫疾患ワクチンが8剤、アルツハイマー病ワクチンが4剤などに分類された。
開発中のワクチン製剤の中で特に注目すべき薬剤として、*HIV(ヒト免疫不全ウイルス)を認識、効果的に戦うことを免疫系に教える可能性を持ったHIV感染予防ワクチン、*NSCLC(非小細胞肺がん)細胞と戦うために患者の免疫システムを動員させるメッセンジャーRNA(mRNA)を活用する肺がんワクチン。このワクチンは、肺がん細胞に過剰発現する6つの腫瘍特異的抗原(腫瘍内部で産生され、免疫応答を誘発させる物質)を標的にする。*アルツハイマー病におけるβアミロイドタンパクに対する抗体を産生、プラーク形成を阻害することを目的としたウイルス様粒子(VLP)とβアミロイドペプチドフラグメントとを結合させるアルツハイマー病治療ワクチン‐など有望な薬剤候補を上げている。
報告書は、高齢者とワクチンの関係に言及。高齢者にとっては、加齢とともに感染症と戦う免疫機能の低下とそれがワクチンの有効性に悪影響を与える「免疫老化」は重要な問題と指摘、研究者らは高齢者の特殊なニーズに応えるような新規の画期的ワクチン開発を目指していることも報告した。現在、会員企業は、このような高齢者向けのワクチン15剤が開発中という。
研究者らは、現在、ジカウイルスやエボラウイルスなど予防法および治療法がないウイルス性疾患ワクチンの開発に最新のゲノミクスを駆使して取り組んでいることや投与経路の工夫によって患者のコンプライアンス向上を目指して、スプレー剤、粉末剤、経皮吸収剤などドラッグ・デリバリーの改善も追究していると説明している。