薬食審 12月4日に第一部会 新薬6製品の承認を審議、大塚の抗精神病薬レキサルティなど
公開日時 2017/11/21 03:52
厚労省は、12月4日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第一部会を開催する。この日は新薬6製品の審議を予定。この中には大塚製薬の統合失調症に用いる抗精神病薬レキサルティ錠(一般名:ブレクスピプラゾール)や、ノボ ノルディスクファーマの週1回投与のGLP-1アナログのオゼンピック皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え))が含まれる。
【審議予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
▽レキサルティ錠1mg、同錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬):統合失調症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
ドパミンD2受容体やセロトニン5HT1A受容体にパーシャルアゴニストとして作用する一方、セロトニン5HT2A受容体にはアゴニストとして作用するSDAMと呼ばれる新規作用機序の化合物。用法・用量は現時点では公表されていないが、申請にあたっての臨床試験は1日1回経口投与で実施している。
▽ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):全身型重症筋無力症を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品に指定されている。
難治性の全身型重症筋無力症は稀な疾患で、補体系により神経筋接合部に進行性に炎症をきたす、慢性進行性の消耗性自己免疫性神経筋疾患。既存の治療法を行っても、歩行しづらい、話しづらい、飲みこみづらい、普通に呼吸しづらいといった深刻な症状に直面し、重症化して生命を脅かすこともある。
ソリリスはファースト・イン・クラスの終末補体阻害薬で、▽発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制▽非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制――の適応を持つ。
▽ナルベイン注2mg、同注20mg(ヒドロモルフォン塩酸塩、第一三共プロファーマ):疼痛を伴う各種癌における鎮痛を対象疾患とする新投与経路医薬品。
μオピオイド受容体作動薬。同じ成分の経口製剤としてナルラピド錠(即放性製剤)と、ナルサス錠(1日1回投与型徐放性製剤)が17年6月から発売されており、今回はその注射剤となる。
ヒドロモルフォン塩酸塩製剤は、海外で80年以上販売されているあへん系麻薬性鎮痛剤であり、WHOのがん疼痛治療ガイドラインなどで、疼痛管理の標準薬に位置付けられている。
▽グーフィス錠5mg(エロビキシバット水和物、EAファーマ):慢性便秘症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
EAファーマは、胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促す新規機序の治療薬としている。1日1回。持田製薬と共同開発し、承認後は共同で販売する契約を締結している。
▽オゼンピック皮下注2mg(セマグルチド、ノボ ノルディスクファーマ):2型糖尿病を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。週1回投与のGLP-1アナログ製剤。
▽イブリーフ静注20mg(イブプロフェンL-リシン、千寿製薬):未熟児動脈管開存症を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
未熟児動脈管開存症は、胎児の時に胎内でも酸素を取り込みやすくするため開存している、大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が、早産などで生後も閉鎖することなく開存し続ける状態となる疾患。それにより増加する肺血流に耐えられず心不全を起こしやすくなるとともに、全身への血流が不足し全身の臓器に影響が出る。それに対しイブプロフェンは動脈管の収縮を促す。
【報告予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。
▽ジプレキサ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同細粒1%、同ザイディス錠2.5mg、同ザイディス錠5mg、同ザイディス錠10mg(オランザピン、日本イーライリリー)
▽オランザピン錠2.5mg「DSEP」他6製剤(第一三共エスファ)
▽オランザピン錠2.5mg「日医工」他6製剤(日医工)
▽オランザピン細粒1%「ファイザー」(マイラン製薬)
▽オランザピン錠2.5mg「ニプロ」他5製剤(ニプロ)
▽オランザピン錠2.5mg「ファイザー」他5製剤(ダイト)
:抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)を追加する新効能・新用量医薬品
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当とされ、医薬品部会で事前評価ののち公知申請されたもの。そのため追加する適応症については既に保険適用されている。