厚労省・三浦経済課長 製薬業界に社会から「厳しい目」 環境整備で研究開発支援も
公開日時 2017/11/10 03:51
厚生労働省医政局経済課の三浦明課長は11月9日、都内で開催された卸連主催のセミナーで講演し、製薬産業を見る社会の目は厳しいとの見方を示した。社会保障費の総額が120兆円規模まで膨らむ中で高齢化と科学技術の進歩により、医療費、特に薬剤費への圧力が強まっている。焦点の18年度改定では早くも薬価への厳しい切込みが想定されているが、三浦課長は、必要財源の確保に尽力する姿勢を示しながらも、「社会保障の使途について、さまざまに厳しい目が向けられている。緊張感をもって一緒に仕事をして欲しい」と呼びかけた。
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三浦課長は、戦後から高度経済成長期を経て現在に至る社会保障制度の変遷を紹介するなかで、雇用環境、家族構成、人口減少など、制度運営の前提条件が変わり、新たな局面を迎えているとの認識を強調した。その上で、制度論として「机上ではなく、社会を映す鏡だと思う」と述べ、直面する高齢化社会の到来や人口構造の変化など、「変わりゆく社会の仕組みに見合う制度に変えていかなければならない」と述べた。社会保障制度が変化する中で、産業構造の転換などを考慮することが必要との見方を示した。
◎見直し進める「医薬品強化総合戦略」 条件付き早期承認で研究開発を合理化
医薬品産業については、「当たり前に感じるが、イノベーションのハードルが高い」との見方を示した。一方で、基礎研究などのサイエンスを実際の商品化に結び付けるには時間とコストが必要で、リスクも高いとし、国としても産業支援の必要があると強調した。経済課が中心となって、医薬品産業強化総合戦略の見直しが進められている中で、10月には条件付き早期承認を導入。研究開発費の低減や効率性向上し、研究開発の合理化をすすめていることを紹介した。こうした薬事規制の改革に加え、ベンチャー支援・育成などを通じ、革新的新薬の創出や、早期承認、低コスト化などをバックアップする姿勢を示した。
◎後発医薬品 「地域ごとの重点化施策を」 三大都市圏でのシェア低率
そのほか、後発医薬品については、数量シェア80%目標が示される中で、東京、大阪、神奈川の三大都市圏でのシェアが依然として低率に止まっていると指摘。「地域ごとの重点化施策を考えていかないといけないのではないか」と述べた。